第1話
眩しい光で目が覚めた。
ん?スマホのアラームは?鳴らなかった?
枕元にあるはずのスマホを探す...ない!スマホがない!
めがねも手探りで探すけどやっぱりない!ベッドから落とした?
ん?なんだかベッドの感触が違う...すんごい、フワフワだ。
こんなフワフワだったっけ?まだ夢の中かな?
子供たちのお弁当と朝ごはん作らなきゃ...炊飯器予約してあったっけ...
そういえばミーコが起こしに来るはずなんだけど、来ない...
ベロベロベロベロ!
突然真っ黒いものにのしかかられて、顔を舐めまくられた!
「うわ!ミーコやめて!」
...?私、声が、めちゃくちゃ低い。
え?なんで?
「え?」...イケボだわ。
何を隠そう私は声がコンプレックスなのだ、やたらと甲高くて母にいつもイライラすると言われたものだ。
私の顔を舐めてたコ、猫じゃなくて犬だわ!
「どおりで猫舌のザリザリ感がないと思ったあ」...私、イケボだわ。
真っ黒ナメナメ犬を見る。キラキラハァハァさせながら私を見てる。かわいいヨークシャテリアだ。なんか懐かしいな。
え?もしかして旦那か子供たちがどこかから連れてきちゃった?
犬を抱っこしながらベッドを降りる...
ベッドを見る...
そこには..そこにはヴェルサイユ宮殿みたいなベッドがあった。
今まで私が寝てたベッド...何コレ
...ん?なんか私背伸びてない?
あと、メガネなしで目が見えてない?
0.1以下というド近眼でメガネなくしては何も見えないこの私なのに。
手を眺める。白くて透き通るような肌
、長い指先、美しく卵型に整った爪...!
何を隠そう私は手がコンプレックスだ、指が短くてなんだかずんぐりむっくりしている。
結婚してからは洗い物に洗濯物、ほんとに手を酷使するのでもうボロボロの荒れ荒れだった。
???その手で顔を触り髪を撫でる。
鼻が...高い。
何を隠そう私は鼻がコンプレックスだ、低くて団子っ鼻だから。
髪...サラサラだ
何を隠そう私は髪もコンプレックスだ、天パの上にチラ見え白髪だから、だ。
...鏡、鏡はないのか?やたら広いヴェルサイユな部屋の中をキョロキョロ見回す。
白雪姫の魔法の鏡のような壁掛けミラーを覗き込むと...
そこにパツキン美青年がいた。
一瞬女性かとも見まがうほど美人だったけど、低い声(イケボ)、キレイだけど筋張ってて大きな手、多分男性でしょうねぇ〜
...って私、え?ど、ど、どうなっちゃったのおおおおおおおおおお!?
乙女ゲーの中心攻略対象に転生しちゃったおばさん 鳳来澪莉 @isiiyuzuriha
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