乙女ゲーの中心攻略対象に転生しちゃったおばさん

鳳来澪莉

プロローグ

益川さん!またあなたなの!

主任の声が響く...

ああ私、また何かやっちゃったんだ...と小太りの肩を落とし気味に、小股でのそのそ小畑主任のところへむかう。


あーまたやっちゃったんだ、私ってほんと子供の頃からダメダメだった。

勉強もできなければ運動も苦手、おっちょこちょいで忘れ物も多い、人の顔も覚えられない!

やっとクラス全員の顔と名前が一致した時には三月の終わりで、クラス変えでまた一から顔と名前を覚えなければならないのだ!

家もそんなに裕福ではなかったから、欲しいものがあっても却下され、服も母の手作りなためなんとなく古臭いデザイン、その上デブでブスで男子には気持ちわるがられるし...


と、主任のところへ向かう道中、ばああっと走馬灯のように過去の思い出がよみがえってきた。

私の思い出、ろくなことがないじゃない!


「益川さん!またレジ間違えてるよ!何回言ったらわかるの?

あとお客さんから遅いし愛想がないってクレーム来てるよ!

それとこれとあーだこーだ...」!!!


あーまただ、あんまり色々言われると頭がぼーっとなってちゃんと聞き取れなくなっちゃうのよ、一つ一つ言って欲しい...でも私が悪いからね、仕方ないの。


そうこうしてるうち、やっと今日のシフトが終わって従業員出口からそそくさと出てくると、

「益川さーん!」


あー小野さんだ、早く帰りたいのに...いい人なんだけど話が長いんだよね、この人。

私が無口なだけなのを聞き上手と間違えて色々話しかけてくれるんだけど、帰って家事をあれこれやりたいのにいつも話し込んで帰るのが遅れちゃう。

大概は旦那さんとお姑さんの悪口で、たまに息子さんの通ってるサッカークラブのママ友の噂なんかで、私あんまり興味ないのよ、でもうんうん聞いてるからね、これも私が悪いのよ。


家事だって効率よくやればパッと片付くのかな、段取りが悪いのかほんとに終わらない!家もとっ散らかってるし、困ったもんだ。


帰ったら、リビングで高校生の娘が携帯ゲーム機を掲げ空を仰いでいた!

中学生の息子も自室でスマホを仰いでいた!

私は、誰か猫のトイレくらい見てよ!とブツブツ言いながら、猫のミーコのうんちを片付け、腹減ったーと言う子供たちにご飯を作る。

今日はもう唐揚げとサラダの下準備をしてあったので、揚げるだけでいい♪

汁物も昨日の味噌汁でいいし♪今日一つだけいいことあったわ☆まあ朝の私が頑張ったおかげだけどね!


旦那は今日夜勤だし、ご飯は三人だけで食べてお風呂入って、子供たちに宿題なんかを急かして、ミーコと遊んで、もう明日なんか来なくてもいいと思いながらクタクタに疲れてその日は眠ったのだった...zZ

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