第13話 初めての弟子
最近かなり人の視線を感じるようになった。
確かに家にはみんないるけどこの視線は外から感じている。
(まさか、これがストーカー?)
「リシアお姉様?どうかしました?」
「え、あ、ううん、なんでもない。で、なんの話だっけ?」
「アステリア様が野菜を残すんです。リシアお姉様からも言ってやってください」
「うん、会った時にまた言っとくよ」
その次の日もまたその次の日もやはり、外から誰かに見られているような気がする。
「リシアさん?最近ずっと外の方見てますけどどうかされましたか?」
「えっ、いや特に何も」
「何もってことは無いじゃろ。昨日も外の方を見てたではないか」
「リシアお姉様、私たちは家族じゃないですか。隠し事はやめましょう?」
「そうだね、、私もしかしたらストーカーされてるかもしれないの」
全員が驚いた顔でみる。
「うむ、まぁたしかにリシアは綺麗な顔立ちだし肉体もすらっとしているからストーカーされるのは必然か」
「必然とか言わないでください。すごく怖いんですよ?」
「言われてみれば最近外から誰かに見られているような気配を感じますね」
「でしょっ?」
「ここは一度確認する必要がありますね」
アルミスがラウンジへの扉を開け、外を見渡す。
「ちょっ、アルミス!危ないって」
アルミスを部屋の中へ戻そうとするが離れない。
「隠れているのは分かっています。出てきてはどうですか!これ以上ストーカーをするようであれば武力行使を行いますがよろしいのですか?」
カサカサと音が鳴った。
「ひっ、ま、待ってください!」
木の影から怯えた様子で少女が現れた。
「お、女の子!?」
「ほう、リシアよ。貴様は女の子にストーカーされるようになったのだな」
「感心してる場合じゃないです」
パシンとアステリア様の頭を叩く。
「なんでリシアさんに付きまとっていたんですか?」
「そ、それは悪気はなくて、、、リシア・ウィリーリアスさんに憧れてたんです!だからつい!」
「そっか。私に憧れてくれるのは嬉しいけどね。こんなことはしちゃダメだよ。ストーカーは立派な犯罪なんだから」
よしよしと泣きそうになる少女の頭を撫でる。
「ごめんなさい」
「とりあえず上がりなさい。この時期外は寒いし」
リビングの椅子に座った少女へ暖かいお茶とお菓子を出す。
「リシアよ、よいのか?」
「まぁ、別に危害を加えられたわけじゃないですし、この寒さの中、放置は危ないでしょ。ところであなた名前は?」
「わ、私は、ルミアです」
「ルミアちゃんか」
「あ、あのぅ!」
もじもじとしながらこっちを上目遣いで見てきた。
「何かな?」
「私を弟子にしてください!!」
「弟子!?」
「はい!リシアさんのような女性になりたいんです」
「うーん、、まぁ減るもんじゃないしいいけど。私には教えるほどの知恵とかないよ?」
「いえ、日頃からお師匠様の姿を拝見し学ばせていただきます!!」
「良かったのう、リシアよ。弟子ができたではないか」
みんなが拍手をする。
「この私がリシアお姉様のお世話の仕方を伝授致しましょう!!」
誇らしげにエリシアがルミアの前に立つ。
「せ、世話って何言ってるの」
「当たり前じゃないですか。弟子とはいえですね、リシアお姉様の妹分である私がしなければならないことを教えるのです」
「は、はい!よろしくお願いします!エリシアお姉様!」
エリシアとルミアが共に楽しそうなのでそのままにしておくことにした。
「エリシアさんが二人増えたみたいな感じですね」
「そうだね。ところでアステリア様、野菜はちゃんと食べないといけませんよ」
うぐっとばつ悪そうな顔をアステリア様がする。
「ま、魔王は野菜など食べずとも大丈夫」
「そうですか、エリシア。今日のアステリア様の晩御飯は野菜を盛モリにしてあげて」
「ラジャーです!!」
「じょ、冗談じゃ!リシアよ許しておくれ!」
「好き嫌いする人は嫌いです」
「自業自得ですよ、アステリア様」
「それとアルミスもね」
「えっ、なんでですか!私野菜食べてますって」
「うん知ってるよ。そうじゃなくてね私の服とか下着がまた無くなってるんだよね」
「な、ナンノコトデショウ」
わかりやすく目をそらす。
「エリシア!アルミスの分も追加で野菜を盛モリにしてあげてね!」
「そ、そんなぁ、それだけはご勘弁を〜」
「一体何回目かな?アルミス」
「うっ、、、だ、だってリシアさんの匂いが好きなんですもん!!」
「ぎゃ、逆ギレ!?よし、もう分かった。一週間野菜盛モリの刑ね。もう謝っても許さないからね」
「えー、冗談ですって」
アステリア様とアルミスが擦り寄ってくるがユウとユイに怒られ、部屋の端でシュンと落ち込んでいた。
異世界に転生したチート持ちだけど勇者じゃない! -異世界に転生しただけで勇者になれると思うなよ- 九十九 薛 @tsukumosetu
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