第3話 美少女とのデート(?)

アルミスと街へ買い物に出るとまるで祭りのように賑わっていた。


「なんかの祭り?」


「はい、水神イーリアス様の生誕祭ですね。イーリアス教の教徒はかなり多くてこの街もほとんどの人がそうですね。ちなみに私もイーリアス教徒です」


「へぇ、結構賑やかにお祝いするんだ、、ね」


「それでリシアさんは何を買うんですか?」


「そ、それは内緒。買った時のお楽しみ」


(アルミスへのプレゼントなんて言えねぇ)


思わず口をつぐむ。


「むぅ、いいじゃないですかぁ!気になります!」


「やだ、絶対に教えない」


「リシアさんの意地悪っ」


「はいはい、私は意地悪です」


「わ、私の事嫌いなんですか?」


「そんなわけ」


「嫌いなんですね!リシアさんなんてもう知りません!」


ぷいっとアルミスが拗ねてどっかへ行ってしまった。


「今なら買える」


周りを見渡しアクセサリー屋を探すが見当たらない。


ふと、アルミスのことを考えると心配になってきた。


「あ、リシアさんこんな所でどうされたんですか?」


「あ、いや、その」


「そういえばアルミスさんは?」


「少し喧嘩してしまって」


フィーアに事情を説明した。


「そんなことが、、、、。どっちが悪いかは別としてアルミスさんのことは早く見つけた方がいいかもしれませんね」


「え?」


「彼女はエルフ族です。エルフは高く売れますから奴隷商に見つかれば捕まります」


最悪の事態を想像し、身震いした。


「私やっぱり探します!」


「知り合いにも捜索を出します!」


フィーアさんへ一礼し、アルミスを探し始めるが当然見当たらない。


「アルミスー!いるなら返事して〜。私が悪かったから!!お願い、、はぁ、はぁ、お願いだから、、、アルミスー!」


木の影にもたれ、少し休憩していると奥の方から男達の声が聞こえ、耳を傾ける。


「いやぁ良かった良かった。上物が入ったぜ、しかもエルフ!!一攫千金も夢じゃねぇ!」


男たちは酒を飲みながらバカ騒ぎをしている。


その近くには縄で拘束されたアルミスや街の子供たちも捕まっていた。


(あいつら!アルミスだけじゃなく子供たちまで!)


「今夜はパーッと行こうぜ!!お前ら!」


「楽しそうですね。私も混ぜてください」


男の方へそっと手を置く。


「いいぜ、女か。しかも飛びっきりのべっぴんさんじゃあねぇか!」


「ありがとうございます。では、パーティーを始めましょうか、クズども」


無詠唱で最上級魔法と呼ばれる【絶対零度アブソリュートゼロ】を放つと一瞬にして男達は凍りつき、捕まっていた子供たちやアルミスの縄を解く。


「う、うう、、リシアさぁぁぁん!!」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながらアルミスが抱きついてくる。


「ごめん、、アルミス」


「ご無事のようですね、リシアさん、アルミスさん」


冒険者と共に駆けつけたフィーアがアルミスへハンカチを手渡した。


「ご迷惑をおかけしました、フィーアさん」


「リシアさん、自分の気持ちはちゃんと伝えないとダメですよ。後々後悔してしまいますから」


フィーアさんが冒険者と子供たちと一緒に街へと戻っていった。


去り際にフィーアさんがポケットを指さし、中を見てみるとペンダントの入った袋が入れられていた。


(フィーアさん、、、)


「アルミス、、ありがとう。あなたのおかげで私は困らずに過ごすことが出来た。これからもその、、えっとよろしくお願いします!」


ペンダントの入った袋をアルミスへ渡しながら言うとアルミスはすごく嬉しそうな顔をした。


「ありがとうございます!!まさか、このためだけにわざわざ?すごく嬉しいです。こちらこそよろしくお願いします!」


と二人で抱きしめあっているとすごい音が鳴り響く。


驚きなったほうを見ると花火が上がっていた。


「き、綺麗な花火、、、たーまーやー!!」


「たまや?なんですかそれは?」


「いや知らない。私のいた国だと花火が上がるとよく言ってた。でもなんでたまやなんだろう」


「たーまーやー!!」


アルミスも真似するように叫んだ。


こんなに幸せなのは初めてかもしれないと思った。


その日の夜はアルミスが布団に入ってきて一緒に寝た。


朝、目を覚ますと嬉しそうにペンダントをつけアルミスが現れた。

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