第9話 鈴の危機

今日は城の庭園で夕食を共にしよう


はい

でも、奥方様が

いい気持ちをされないのではないでしょうか


大丈夫じゃ

大奥の定を打ち首にしたからな

そういえば

今日は特別に御馳走が食べたいな


わかりました

海や山の幸を準備してまいります

私が町に参って

買って来ましょう


ああ、頼むぞ


何にしようかな

どれが、お殿様が喜ぶかしら

この鯛がいいかもしれません

あと、この椎茸に

いろいろ買いましたから

帰りましょう




おい、いい女がいるぞ

後をつけてみるか


そうだな

どこかに連れて行って

手籠めにしてやろう


大将

でも、この町中では無理です


ああ、わかっておる

声をかけて

あそこの竹林に連れて行こう


でも、行きますかね


ああ、じっくり楽しもう




おお、そこの娘さん

それだけの買い物をすれば

重たいだろう


はい、そう思っていたところでした


まかせときな

私が半分持ってあげよう


いえ

大丈夫です


気にするな

娘さん


それでは

よろしいでしょうか


ああ

大丈夫だ

困った人をみたら

助けてあげないとすまない性分でな


どこまで運ぶのかな


城までです


おや、娘さんは城で働いているのか


はい

お殿様の夕食を作っております


そうか、そうか

実はな

城までの近道があるんだよ


そうなのですか


ああ

こっちの方だよ


はい


大丈夫かな

娘さん


はい


重くないかい


はい


城まではすぐそこだから


しかし、城とは別の方向ではありませんか


いや、そこを曲がると城の近くまでいくんだよ


そうなのですね

ありがとうございます


ああ、少し疲れたな

そこの竹林の間に休む場所があるんだよ

そこで座ろうか


そうですね

私のために申しわけありません


どれ

荷物を降ろして座りなさい


はい


おい

皆の者

出てこい

今だ


どうしたのですか


お前はいい女だな

ちょっと楽しませてもらおうかな


やめて下さい

荷物を運ぶだけじゃなかったのですか


はははは

娘さんも馬鹿だな


ちょっと可愛がってあげるだけだ


やめて下さい


はははは


いい女だな




ほら、楽しませてくれたから

これで米でも買うといい


はははは




信長様 信長様

申し訳ありません

もう、城へ帰る事はできません


おや、竹林に見えるのは、鈴様ではないか

どうされましたか


辰之進様


これは・・・

大丈夫でしょうか


信長様



おい、すぐに籠を準備して城へ連れて行ってあげろ


辰之進様



殿、実は


どうした

辰之進


鈴様が


鈴がどうした

どうしたのだ


申し上げにくいのですが

男どもから手籠めににされたようで


なに

そいつは誰だ


それがわからなくて


そうか

鈴はどこにいる


部屋で休んでおります


わかった

部屋へ行こう


鈴、大丈夫か


信長様

もう、私は信長様のそばにいることはできません


問題はない

鈴は私にとって心のよりどころだ


いえ、私は信長様のお姿を見る事はできません


わかった

しばらく部屋でゆっくりしなさい

私は鈴への想いは変わらないぞ

しばらくゆっくりしなさい


申し訳ありません



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