第8話 白い花
鈴
城に帰ってきて少しは落ち着いたか
はい
鈴
城の中ばかりだと退屈しないか
近くに山があってな
きれいな花も咲いている
行ってみないか
はい
是非、行きたいです
きれいな花を見てみたいです
そうだろう
よし、すぐに支度する
辰之進
鈴とそこの山に行ってくる
は
それでは
私と護衛の兵も行きましょう
いや
二人だけにさせてくれ
護衛はいい
大丈夫でしょうか
敵国の忍びがいるかもしれません
大丈夫だ
その時は私が斬る
よし
鈴
行くぞ
辰之進様
大丈夫でしょうか
ああ
殿に気づかれないように行く
わかりました
私とお前の二人で行こう
は
鈴
大丈夫か
山道は大変だろう
私の背中に乗るか
いえ
大丈夫です
それより
周りにきれいな花が咲いていますね
そうだな
だが
私にとっては鈴が
一番きれいな花だよ
ありがとうございます
そう言っていただけますと
うれしいです
何か物音がしたぞ
まさか
辰之進が来ているのではないだろうな
おい
あれだけ
物音をたてるなと言っただろう
は
申しわけありません
まあ、気のせいか
鈴、腹が減ったな
お殿様
おむすびと
簡単な煮物を作ってまいりました
なんだと
それは楽しみだな
どれどれ
おお
これは美味い
煮物が美味しい
そう言っていただけると
うれしいです
鈴が作ってくれる料理はなんでも美味い
ありがとうございます
鈴、待っておれ
おい、殿がこっちにくる
木の多い方へ隠れろ
は
よし
この白い花が多く咲いておる
鈴に似合いそうだな
鈴
お殿様
目をつぶりなさい
どうしてでしょうか
いいから
はい
もういいぞ
着物に白い花が咲き乱れているように
多く飾ってあります
とてもきれいです
お殿様
ありがとうございます
耳に手を当ててごらん
あ、耳に飾ってくださってくれたのですね
とてもうれしいです
鈴
本当にきれいだ
鈴と一緒にいる時が、一番幸せだ
見ろ
信長様の笑顔を
本当に幸せそうだな
本当ですね
鈴、私の近くに来てくれ
はい
そんなに強く抱きしめないでください
痛いです
そうか
どんなことがあっても
もう二度と話さない
約束する
はい
うれしいです
必ず約束する
どんな時でも一緒だ
はい
信長様の幸せそうな顔は忘れない
決して
信長様のためなら
私は死ねる
辰之進様
そこまで強い覚悟があるのですね
必ず
信長様を守り通す
ネズミよ
邪魔をしないでくれ
だが
仕方ないな
国のためだからな
気づかれていたか
静かに帰るぞ
は
鈴
今日のことは一生忘れないぞ
私はこれから戦にでるかもしれぬ
だが、必ず鈴のもとへ帰ってくる
辰之進や明智光秀という優秀な家臣もいるからな
特に明智光秀という男は有能だ
はい
お殿様
鈴
お殿様でなく
信長でよいぞ
いえ、とんでもございません
まあ、どうでもいいことだがな
鈴と一緒にいれればな
お殿様
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