第4話 お茶会

今日はお茶会か

もう、お茶も飽きたな

そうだ

鈴に美味いお茶を飲ませてやるとするか

おい、鈴を呼べ



こちらに来なさい

今日はお茶会があるぞ

町で飲むお茶とは違う

それから、私の横に座りなさい


かしこまりました


殿


なんだ、定


殿の隣に鈴が座るのでしょうか

どうしてでしょう


定も私の隣に座りなさい


納得がいきません

奥方達も私も見ているではないですか

私に恥をかかす気ですか


なんだ

私に文句でもいうのか


申しわけありません

しかし、残念です


定、まあ、そう怒るな

たまには、下町の娘を可愛がってやろうではないか


わかりました




みえこ、こっちに来なさい


はい、定様

順調に事は運んでいます


何かあるのか


いえ

みえこに、殿様にとっておきのお茶をお渡しするよう

申し伝えていましたので

その確認をしたところでした


そうか

みえこ、頼むぞ


はい、お殿様


余興も始まったから

お茶が来るか

おや、配るのはみえこではないのか

違う者が配っておるではないか

どうしたのか


はい

急遽、みえこ様が気分が悪くなりまして

私がお渡しするようになりました

皆さま、どうぞ


そなたも美しい娘だな


ありがとうございます


名をなんと申す


ゆきなと言います


そうか

遠慮なく飲みなさい


お殿様

このような手に入らないお茶を

頂いてよろしいのでしょうか


ああ、鈴のために、お茶会を開いたようなもんだ


おや、鈴殿

鈴殿のお茶の色は濃いな


なに

本当だな

吉之門太雄


代わりに私が飲みましょう

私は濃いお茶が好きなのです

鈴殿がよければの話ですが


どうぞ、このお茶を召し上がって下さい

交代しましょう


うううう


どうした

吉之門太雄


吉之門太雄殿が息をしておりません


なに

なぜじゃ


もしかして

お茶に毒を誰かが入れたのでは

もし、鈴様が飲んでいたら

鈴様が


そうだ、そうではないか

毒を入れた者をすぐに探すのだ

辰之進


わかりました



誰がお茶を作ったのか

そういえば

みえこは気分が悪くなったのだったな

それで、ゆきなという女が変わりに作ったのか


はい、辰之進様

そうか、ゆきな


ゆきな

こっちに来い


はい


お前がお茶を作って入れたのか


いえ、違います

みえこ様がすでに入れておりました


ゆきな

それは誠か


いえ

ここの部屋にいたものは

ゆきなだけです


いえ、違います

みえこ様もいました


違います

私はそのような事はしておりません


みえこは、この部屋にいるのは

ゆきなしかいないと言っているぞ


違います


どうして

そう言い切るのか


入れたのは、みえこ様です

私は見ておりました


ゆきな、誠か


見て下さい

みえこ様のそでに

お茶の葉がついているではありませんか


みえこ

お前は嘘をついたな


いえ、違います


みえこ

見苦しいぞ


お殿様

そんな


実は、私もみえこが入れているところを

たまたま通った時に見ておりました


定じゃないか


定様、どうして


なに


殿、みえこが入れたのは間違いなさそうですね


そうだな

辰之進


殿、実のことを言いますと

私はみえこ様から

お茶に毒を入れないと

父に薬を渡さないと脅されたのです


ゆきな

それは誠か


はい


一体、どうなっているのか

本当にみえこが入れたか

あの優しいみえこがいれたとは思えぬ


殿、みえこのそでに

お茶の葉がついているではありませんか

それが証拠ではありませんか


定様そんな


そうだな

みえこを打ち首にしろ




上手くいかなかったか

次の手を考えなければな

まあ、あの殿のお気に入りのみえこを殺すことが出来たから

今日はまあいいとしよう

まあ、次の良い方法も思いついたからな


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