第36話 お揃いと赤面。
私は、天に召される直前なのではないだろうか?
もう、いつ死んでも構わない。
いや、本当はずっと一緒に居たい。
出来るだけ、ルシファちゃんと一緒に居たいし、傍で見続けたい。
私はそう思っている。
それにしても昨日のショッピングは最高だった。
ルシファちゃんとの事は何でも最高だが、今日はいつも以上だった。
ゆっくりとした時間を二人で楽しんだ。
武器屋や防具屋に道具屋を見て回り、ランチをしデザートまでゆっくりと食事を楽しみ、最後に貴金属店で同じ魔晶石のついた魔法ブレスレットを購入した。
お揃いの魔晶石付き魔法のブレスレットは蒼く済んだ色をした魔晶石が付いた皮製のブレスレットでスピードを少しプラスする力が付与されている。
『付与魔術師は少ないのですよね?』
『ああ。少ないのは魔術師の方に需要があり稼げるからだと聞いている。誰でも出来る訳では無いが付与魔術師や魔道具師も要るぞ。これもどちらかのモノであろう。』
『へぇ。そうなんですね。シーラ姉上。これをプレゼントさせてくれませんか?シーラ姉上に似合うと思うのです。それに、このサイズでこの重さならそんなに邪魔にならないと思いますので。良いですか?』
『う、うむ。では同じものを私からルシファリオに贈ろう。』
『えっ?それでは感謝の気持ちを込めたプレゼントの意味がなくなってしまいます。』
『何を言う。私もルシファリオに感謝しているのだ。お互い様であろう?お互いでは無いなら私は受け取れない。』
『ふぅ。わかりました。では一緒に買いましょう。お願いします。』
『ありがとう。ルシファリオ。』
『いいえ。私こそ、ありがとうございます。』
こうしてルシファちゃんとお揃いのモノを手に入れた。
「何をニマニマしていらっしゃるのですか?」
「ぬぉぉ~。ば、馬鹿な事を申すな?!」
「しかし、事実でございます。」
「なっ?!それは本当か?!そんなに情けない顔をしておったか?」
「いえ。嘘です。」
「ふぅ。揶揄のも大概にしろ。」
「ですが、そのブレスレットをずっと見つめていらっしゃるのは事実です。」
「ムっ。さようか。気をつけよう。」
「はい。お気を付けください。」
私の従者であるリエンは長い付き合いだ。
幼馴染の一人と言えるだろう。
しかも昨日のルシファちゃんとのショッピングもついて来ていた。
察しているのだろう。
「良かったですねぇ~。ルシファリオ様とお揃いのモノが出来て。」
「わかったから揶揄な。」
馬車が学園に着いたのでここからは歩く。
本来は校舎に馬車を着ける事が出来るのだが、私は門より歩く様にしている。
流石に王城からでは皆に迷惑を掛けてしまうから、門より中からだが。
「おはようございます。シーラ様。」
「うむ。おはよう。ジャネット。」
「おはようございます。シーラ様。」
「うむ。おはよう。バリエッタ。」
この二人は、いつもここで待っていてくれているクラスメイトだ。
ジャネットは侯爵家の三女でありバリエッタは伯爵家の四女だ。
つまり私と同じ様に今は身分があるが、将来はどうなるかわからない。
もしかすると、政略結婚に使われるかもしれない身分であり、家の繁栄の為に仕えなければいけない者同士だ。
この二人は私の従者であるリエンにもきっちりと挨拶をしてくれる礼儀正しい者達なのだ。
「あれシーラ様。その腕にしているのは新しく購入されたのですか?」
「うむ。弟が買ってくれたのだ。」
「まぁ。ステキなブレスレットですね。とってもお似合いです。」
「そうか?」
「ええ。お似合いでいらっしゃいます。」
「羨ましいですわね。」
「本当に、弟君はお優しいのですね。」
「うむ。自慢の弟だ。」
「私、ルシファリオ様に求婚しようかしら?」
「ぬっ?!」
「そうよね。将来有望だって噂ですものね。」
「まっ?!」
「ただ、王族の継承順位が低いのがあれですけど。」
「おっ?!」
「でもジャネット。ルシファリオ様は剣術も魔術も学力も高いそうですから、王にならずとも英傑になられるのではないかしら?」
「そっ?!」
「そうよね。貴族でなくとも幸せに暮せて行けそうよね。なにせお優しいから。」
「むっ?!弟はやらんぞ!」
その私の言葉を待っていたのか、ジャネットとバリエッタとリエンの三人が私の周りで吹き出し笑い出す。
そこで私はハッと気がつく。
「また、揶揄ったな?!」
「「「はい。ふふふ。」」」
「そんなに私を揶揄って面白いか?!」
「「「はい。」」」
「なっ?!」
「それに、いつも感情を表に出されないシーラ様の感情豊かなお顔を拝見できるのはこれしかありませんもの。」
「そうそう。弟君の話題だけ。」
「他では、ピクリとも変化がありませんからね。主席になられても武術大会で優勝されても変化はありませんでした。」
「むむむ。もうしらん。先に行く。」
「ふふふ。お待ちになってくださいませ。シーラ様。」
「申し訳ありません。謝罪しますので、お許しください。ふふふ。」
いつもこうして私を揶揄のだ。
そんなに私は表情がないのだろうか?
というか、ルシファちゃんへの思いを見抜かれ過ぎではないだろうか?
顔にでているのだろうか?
そんな事を考えていると更に恥ずかしくなり、顔が真っ赤になっていくのを自覚する。
顔を洗って落ち着くしかない。
そう思った私は、真っすぐトイレに向かった。
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