第35話 カフェ・イン・ザ・スカイ。
「凄いですね。」
「うむ。私もこれ程とは思っていなかった。」
私達はカフェ・イン・ザ・スカイというお洒落なお店に入りました。
それもレンガ調の重厚感ある建物で三階建てになっているお店です。
一階にはテラス席が設置されており、二階と三階にはベランダ席もありました。
そして私達が案内された場所は屋上でした。
大きなテントの様な屋根の中にある場所です。
しかもプールが設置されているのです。
そして涼しい風が吹いており環境も良いのです。
魔法の道具が使用されているようですね。
「見事にカップルばかりですね。」
「う、うむ。」
右を見ても左を見ても、前を見ても後ろを見ても、カップル、カップルしか居ません。
「その、なんだ。市井の者達がこぞって来るという場所なのだ。視察を兼ねているのだが、すまない。」
「いえ。大丈夫ですよ。」
「そうか?それは良かった。」
ホッとした様子で胸を撫で下ろしたシーラ姉上は、はにかんだ様な笑顔になった。
私達はメニュー表を見る事はせずリエンさんが全て注文してくれた。
リエンさんもアデーレさんも立っていようとしたので、お願いして座って貰っている。
「こんな様子を誰かに見られたら・・・はわわわわ。」
ただ、どうしても同じテーブルは無理だと言うので、隣のテーブル席に座って貰っている。
なので、このテーブルは私とシーラ姉上だけだ。
四人用のテーブルなのだけどね。
「凄く繁盛しているみたいですね。」
「うむ。一番のホットスポットらしい。」
「へぇ。そうなんですね。」
私とシーラ姉上は雑談を交わしていると食前酒が運ばれてきました。
私はシュワッとする炭酸果汁水ですが、シーラ姉上はシャンパンです。
そこから料理が運ばれてきました。
美味しいコース料理です。
前菜:赤身魚と柑橘のマリネ
スープ:ジャガイモのポタージュ
魚料理:白身魚のポワレ
肉料理(ロースト以外のもの):
ソルベ(口休めとして):木いちごのソルベ
ローストの肉料理:ポークソテー~クリームソース添え
生野菜:フレッシュサラダとチーズ和え
甘味:ババロア
果物:葡萄と木いちごの生クリーム添え
一般的とされるコース料理でした。
カフェという名前の割にはしっかりとしたコース料理です。
軽食のイメージが私の持つ喫茶店なので、イメージとは違いました。
ここまででは、なぜカップルに人気があるのか少し分かりませんでした。
「美味しいが、これがカップルに人気であるのだろうか?」
「そうですね。まぁお店の雰囲気とかが流行りを生んでいるのかもしれませんね。」
「そうだな。」
私達はふっと周りを見渡しました。
あっ、あれは?!
「なんだ?あの飲み物は?!」
シーラ姉上がビックリしています。
私も同じく驚きました。
あれは、伝説のカップルで飲む飲み物です!
一つの大きなコップにストローが刺さっています。
そのストローは飲み口が二つあり、それをカップルの二人が同時に吸って飲んでいます。
正確にはストローが二つ絡み合っているのですが、≪カップルストロー≫というやつです!
これが、このお店がカップルに人気がある理由のもっともたるモノなのだと理解しました。
私は驚きましたが、その存在が地球にあったので直ぐに理解しました。
しかし、シーラ姉上はそうではないのです。
口をあんぐりと開けて、言葉を失っています。
私はシーラ姉上に何度も呼びかける事になってしまいました。
「ルシファリオと私が・・・。」
「大丈夫ですか?何でしたら飲んでみますか?」
「はっ?!」
「皆、楽しそうですし雰囲気を味わうのも楽しいと思いますよ。」
私としては兄弟ですし、特に後ろめたい思いも無いので、試してみようかな?とい安直な考えで聞いてしまいました。
「えっ?」
「私で良ければですけど。姉弟なので雰囲気を楽しむだけですがどうですか?」
「いや。そうだな。何事もチャレンジは必要であろうな。うむ。私達は姉弟だからな。うむ。リエン。注文を頼む。」
「ご安心ください。既に頼んでおります。」
「そ、そうか?うむ。」
シーラ姉上は声を上ずらせた返事をされました。
少し緊張しているのでしょうか?
少しして店員さんが私とシーラ姉上の前にドンと大きなコップを持ってきました。
そのコップは他のコップよりも大きく、飲み物だけでなくフルーツが乗せられていました。
そしてカップルストローがしっかりと刺さっています。
「では、頂きましょう。」
「うむ。だが、しかし・・・。」
「どうされたのです?」
「いや。ルシファリオ。私の様な武骨な姉とそのなんだ。一緒に飲むのは嫌ではないのか?」
「えっ?武骨な姉?私はシーラ姉上の事をそんな風に思った事はありませんよ。私には過ぎた姉上であられるとは思っていますけど。」
「な、なにを言う!過ぎた姉なのでは決して無いぞ!むしろルシファリオはよく出来た自慢の弟だ!」
「本当ですか?シーラ姉上。ありがとうございます。シーラ姉上にそう思って頂けているとは、光栄な事です。」
どうも、私もシーラ姉上もお互いがお互いを高く評価しているみたいです。
それを同時に理解した私達は、プッと吹き出し笑い合いました。
「さぁ、シーラ姉上。一緒に飲みましょう。」
「う、うむ。そうだな。飲もう。」
私達はカップルストローに口をつけて、お互いの視線が合いジュースを飲みました。
これがカップルストローなのですね。
かなり近い距離になります。
ドキドキが止まらなくなりますね。
シーラ姉上の澄んだ綺麗な蒼い目を見つめながら爽やかなジュースを堪能しました。
いつの日か、こんな感じでシーラ姉上が行為を寄せる方と飲む日がくるのかと思うと、少しだけ寂しい気持ちになりました。
今はただ、楽しもうと思います。
シーラ姉上の弟という役得な環境である事を感じた日になりました。
神※※※※※様に感謝を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます