第19話 合同訓練前の準備。
毎日が充実した日々になっています。
そう実感しているのですが、やはり男友達が欲しいと思ってしまうのです。
熱く友情を交わすという事までは望んでいませんが、暑苦しいのも良いのでは無いか?と思うのです。
ただ、自身が王族であるので、なかなか難しいとは思っています。
「さて、来月は実地訓練がおこなわれる。我が校伝統の行事の一つだ。新入生の力試しと親睦を兼ねた行事だ。」
クラウディア先生が言うには、10キロ程離れた場所にあるパトリック大森林にて野営して数日過ごすというモノらしいです。
キャップという事は合宿?ですかね。
魔物の討伐をおこなう合同訓練であり、騎士団の一つが一緒に参加してくれるそうです。
シード学園では毎年行う行事で、学年毎におこなわれるそうです。
つまり二年生になっても二年生だけの合宿があるという事でしょうか?
こういう話を聞くと異世界であり魔物が居る世界であると改めて思いますね。
「期間は一週間だ。その為にグループ分けをしてその準備期間を設ける事になっている。このクラスは40名だ。5人ずつの班を作るので、8人の班長が必要だ。その中から、クラス代表も決めるつもりだ。班長八人の自薦他薦はかまわない。誰かいないか?」
クラウディア先生の投げかけに、皆は静まり返ります。
静かになった後に何故か私に視線が集まります。
特にクラウディア先生の視線は厳しいモノです。
僕が王族であるから、手を上げるものと思ったのかもしれませんね。
やはりここは手を上げるべきでしょうか?
「クラウディア先生。8人の内一人はルシファリオさんが良いと思います。」
手を上げない私を気にしてくれたのか、カタリーナがそう発言をしてくれました。
他薦というモノですね。
「良いだろう。一人目は決まった。後は居ないか?」
その後は順次決まっていきました。
どうやら、気を遣っていたのはカタリーナだけではなかったみたいで、私が班長の一人に決まってからは早かったです。
「すいません。勝手に推薦しちゃいました。ご迷惑でしたか?」
「いえ。全然。ありがとう。」
ぎこちないタメ語と敬語の混ざった様な話し方になってしまいました。
まだまだ慣れません。
エヘっという感じの笑顔を作るカタリーナの横では、ジュネスがホッとした顔になっています。
「では、班長になった者は、前に出て来てくれ。」
クラウディア先生の掛け声で班長達が呼ばれ集まります。
「先ずは、この中で二つに分ける。そうだな。今回は私が決めよう。」
クラウディア先生の指示で、四人四人に分けられました。
「よし、この四人の中でリーダーを決めなさい。」
私の方の四人は、貴族が三人でした。
そして逆にもう四人の方は平民ばかりでした。
こうなると当然の様に私がリーダーに選ばれる事になり、平民ばかりの方は、ブラームス君がリーダーに選ばれました。
「よし、ではルシファリオとブラームスとどちらかが、代表でどちらかが副代表だ。さてどっちが代表になる?」
「それは、ルシファリオ様でしょう。」
「何故だ?」
「やっぱ、王族ですし、主席入学されたので。」
ブラームス君が先生に理由を述べると、明らかに不機嫌そうにクラウディア先生の顔色が変わりました。
「そんなつまらない理由は要らない。よし、わかった。では二〇対二〇の模擬戦をしよう。」
「「「「えっ?!」」」」
「その決着を見てから、代表は決めよう。では班長達は自分を含めた5人の班を構成しなさい。期限は来週の月曜日の朝一の朝礼まで。良いですね?」
「「「「はっ、はい。」」」」
ざわざわっとしたが、クラウディア先生がさっさと纏めてしまい、反対出来ない状況を作ってしまったのです。
物凄い圧力を感じました。
どうも、王族だからという理由が気に入らなかったみたいですね。
「再来週の月曜日の午前中に訓練場で模擬戦をします。一週間の間に色々と煮詰めて戦略を考える事。よろしいですね?」
「「「「「はい!」」」」」
こうして、合宿前にクラス代表を掛けた大規模な模擬戦をする事になってしまいました。
そしてその前に、スカウト戦があります。
困りました。
たぶん、カタリーナとジュネスは班に入ってくれるでしょうが、後二人は未定です。
私は不安に駆られて、教室を見渡しました。
何故か、私が見ると皆が下を向いてしまいます。
これは前途多難ですね。
「さぁ、今日はここまで。解散!」
クラウディア先生は全員を見渡し解散宣言をしました。
私はカタリーナとジュネスの横の私の席に戻りました。
「大変な事になってしまいましたね。」
「そうですか?何か面白くないですか?」
カタリーナは私と同じ意見の様ですが、ジュネスは違う様です。
「ジュネス。何で面白そうなんですか?」
「だって、まさかこの時期にクラスの中で模擬戦が出来るなんて思っていなかったので、面白そうだって思ったんですよ。予想外な展開って面白くないですか?」
予想外の展開。
それが面白いと感じる事が出来るのは、素晴らしい事かもしれません。
そういえば、同じ様に感じる人を知っていた気がします。
「そうね。そう考えると、たしかにそうかも。」
カタリーナも同調しました。
「うん。そうですね。発想の転換ですね。わかりました。楽しみましょう。」
「うん。」
「はい。」
二人に頷き、二人が頷き返してくれました。
さぁ、この苦境を楽しんで乗り越えましょう。
そして、頼もしい仲間がいる事を感謝しましょう。
神※※※※※様に感謝を。
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