第14話 合格通知。


数日後、試験結果が発表されました。


私の所へは『合格』通知が届きました。


尚、新入生代表として入学式に挨拶をして欲しいとの要請がありましたので、焦りました。



「何故?」



「どうしたの?」



つい言葉にしてしまったのがいけなかったのでしょう。


たまたま居合わせた姉上が、聞いてきましたので、正直に打ち明けました。



「やっぱりね。」



「だと思ったよ。」



あれ?


もしかして王族は義務なのでしょうか?


しかし、学園においては実力主義であり、王族だからとか関係ないハズだと記憶しています。



「どうしてなのでしょうか?」



「単純よ。ルシファリオちゃんが入学試験での一番の成績を獲得したのよ。」



「えっ?私が一番?」



「えっ?そうなると思わなかったの?」



「駄目な点ではないと思いましたが、一番だとは思いませんでした。」



「「えっ?」」



セリア姉様とアリア姉様が驚いています。



「もしかして、自分を過小評価しているのかしら?」



「たぶん。・・・そうだね。自覚がないみたいね。」



こそこそと何か二人で話して頷き合っているのですが、どういう事でしょうか?



「ルシファリオちゃん。とにかく貴方が入学試験においてトップの成績をとった事は間違いない事よ。挨拶の言葉を考えなさいな。」



「私達は、お母様に報告してくるわね。」



そう言って、従者を連れて部屋を出て行かれました。


しかし、挨拶といっても何を言えば良いのでしょうか?


挨拶とかした事はありませんし、人前で何かを話すのは苦手です。


とは言え、王族として転生してしまった私は、いつかはこの様な事態になるとは思っていました。


それが想定より早く来ただけではあります。


挨拶などの文章が必要なモノは王族では書士という立場の文官が作成してくれます。


もしくは、従者でしょうか?


よし、丸投げしましょう。



「エルヴィンさん。お願いがあります。」



善は急げとも言いますし、直ぐにエルヴィンさんを呼びました。



「はい。なんでしょうか?」



「この度、私が主席合格したので、挨拶をして欲しいと言われました。その挨拶用の文章を作成してください。」



「合格おめでとうございます。かしこまりました。」



あれ?主席合格を驚いていませんね?


冷静に誉められ承諾されました。


主席合格するのは王族として当たり前の事なのでしょうか?


しかし、聞いた限りでは、そういう訳では無い様なのですが・・・。



「では、儀礼用の文章を作ってまいります。出来ましたらお持ちしますので、確認と暗記をお願いします。」



「暗記が必要なのですか?」



「はい。暗記する方が良いと思います。」



むむむ。


暗記ですか。


前世ではとても苦手にしていましたが、まぁ今世ではレベルもありますし、私の能力でなんとかできますかね?



「そうですか。わかりました。」



「では、失礼します。」



承諾を伝えると、エルヴィンさんは部屋を出て行きました。


この世界にはレベルがあり、自身のステータスを数値で確認できます。


その素の数値を元に体は構成されているのか、もしくは体の変化に合わせて数値化されているのか、どちらにしてもその数値は絶対的なモノになります。


これに動作・作業などをおこなう時はスキルによる補正が加わり、同じ能力でも結果に個人差が出る様になっています。


ある種ゲーム的な部分がそれですかね。


ただ、ゲームとは違い現実社会に反映されたモノですから、不思議です。


身体が小さくても大人顔負けの能力を示す人もいますし、大人であっても子供に能力で負ける事もある世界ですね。


なので、弱肉強食の色が濃くでる社会なのだと思います。


こういう世界では民主主義はなかなか育たないかもしれませんね。


個の力が強まる傾向にある世界ですからね。



「ちょっと良いか?」



この声は、シーラ姉上ですね。



「どうぞ。シーラ姉上。」



「やぁ、久しぶり。」



「はい。ご無沙汰しています。」



シーラ姉上は双子の姉上達とは違って、あまり私の部屋に顔を出したりしなので、珍しいお客様です。



「うむ。ルシファリオ。そのなんだ。しゅ、主席合格、おめでとう。」



何故、もうシーラ姉上が知っているのでしょうか?


もしかして、偶々双子の姉上達に逢って話を聞いたのでしょうか?



「はい。ありがとうございます。姉上達を見習って、入学してからもしっかりとやっていきたいと思います。」



少し、戸惑い気味のシーラ姉上は、少し考えてから返事をしてくれました。



「あ、ああ。だが、無理はするなよ。」



「はい。お気遣いありがとうございます。シーラ姉上。お茶でも飲みますか?」



「う、うむ。良いのか?頂こう。」



微笑んだシーラ姉上にソファを進めて、私は部屋の外に顔を出し、控えていたメイドのアデーレさんにお茶の用意を頼みました。



「それにしても、流石だな。」



「えっと、何が流石なのでしょうか?」



「そうだな。ルシファリオは知らないのであろうな。実は・・・。」



どうやら、シーラ姉上は私の主席合格は学園でお聞きになられたみたいです。


そして、姉上から聞かされた内容に私は衝撃を受けました。



「まさか・・・。」



「まさかでは無いよ。ルシファリオなら、当然の結果だと私は思っている。」



その上で、シーラ姉上の私への評価が物凄く高い事を知った瞬間でもありました。


そのプレッシャーに私は負けない様に頑張らなくてはいけません。


しかし、シーラ姉上のその評価は素直に嬉しい事です。


そんな評価をしてくれる姉上を失望させる訳にはいきません。


また、明日から、いえ、今日から一段と気合を入れて頑張りましょう。


神※※※※※様に感謝を。


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