第10話 日課。



「では、ランニングに行ってきます。」



「「いってらっしゃいませ。」」



私が宣言し準備を整え、部屋を出ると、レオナさんが準備を終えて待っていました。


そして、レオナさんを従えて出て行く私をメイドのヘレンさんとカリンさんが見送ってくれました。


誰にも会う事無く、王宮の入口に来ました。


王宮の建物の入口は基本的には、この正門に繋がる場所と、食材や王宮に収められる品を運び入れる西側一階の場所の二つです。


まぁ、窓から飛び出せば出入りは出来るのですが、それは非常時の手段です。


後は、王宮の裏側で、後宮に繋がる場所からも出る事が出来ますが、裏庭か後宮に用事がない限りは出入り出来ません。


それにより広い空間でのランニングをしているので、正面から出ました。


いつも通り、城の出入り口に立っている衛兵に朝の挨拶をして出ます。


始めての時は何かと、驚かれましたが、否定はされませんでした。


日課であるランニングは、王宮の敷地内をグルっと回るというモノです。


王宮の敷地内はかなり広く、東京ドーム五個分はあります。


後宮も含めると、東京ドーム10個分はあるのでは無いでしょうか?


大陸でも有数の国であるフリーア王国の王が住む王宮だからでしょうが、平和である事も理由の一つでは無いでしょうか?


我がフリーア王国は隣国の大国であるジェスター王国とアスワン王国の三国による同盟を結んでいるのです。


それも長い事続いている歴史ある同名は三国を大陸でも有数の国家にし、平和を維持しているそうなのです。



フリーア王国の建国は統一歴113年とされています。


ジェスター王国の建国は統一歴188年とされています。


アスワン王国の建国は統一歴248年とされています。


統一歴とは、遥か昔にリン・M・ジャポネスという大英雄の手によって、世界は統一された事があるのです。


かの大英雄は女性であったとされています。


ただ、彼女が建国したジャポネス帝国は初代天帝であるリン・M・ジャポネスが崩御して直ぐに崩壊しているので、現在は群雄割拠する時代となっていますが、世界の統一が出来た時点で凄すぎます。


地球で言えば、日本を統一したとか、大陸を制したとかレベルではなく、地球を統一した事になるのですから。


その為、彼女を貶す人は居ません。


少なくとも、表だって馬鹿に出来る人では無いのです。


今や、神の一柱として世界の人々から崇められています。



それらの背景を元に、統一歴は残されたのです。


皇帝ではなく、天帝ですからね。


皇帝を名乗る所はありますが、天帝を名乗るのは、この世界を統一しない限り名乗りを許されませんし、認めてもらえないようです。


自国の民すら認めないそうなので、名乗っても自称でしかなく、国として下に見られてしまうので、今現在は、どの国も天帝という称号は名乗る者が居ません。


まぁ、不敬だとして、神様に罰を与えられても困るというのもあるでしょう。


地球と違って神様が近いせかいなので。



で、三国同盟をしている私達の国は世界に五個ある大陸の内の一つであるロードスト大陸の中の中央部に位置しており、大陸内でも一目置かれる大国の同盟なのです。


そもそも、私が居るフリーア王国が三国の祖とされており、大きい括りで言うならば、同じ血族なのです。


フリーア一族の者がそれぞれ、ジェスター王国とアスワン王国を建国したのですから。



「ルシファリオ殿下。少しペースを落とされますか?」



おっと、考え事に集中し過ぎていたみたいです。


レオナさんに心配されてしまいました。


ペースを乱してしまいましたかね?



「いえ。大丈夫です。いきましょう。」



私は、その様に伝えペースを気にしながら、走ります。


もう少し、器用に出来ると、訓練も捗ると思うのですが、この世界に【並列思考】みたいなスキルはあるのでしょうか?


無くても、それを意識して、訓練していれば、出来る様になるか、またはスキルをゲット出来るかもしれませんね。


そもそもスキル【並列思考】がこの世界にあれば、全く無いというよりも現実的に身につきやすいのではないでしょうか?


やはり、調べてみましょう。



「ルシファリオ殿下。少し、ペースが速くありませんか?」



おっと、今度は速過ぎるみたいです。


どうも、思考が優先されてしまっているみたいですね。


今日は、諦めましょう。


やるならば、ちゃんと説明してからの方が良いでしょうね。


心配させるのはよくありません。


何か有れば、従者であるレオナさんが叱責されてしまいますからね。



「すいません。今度こそ大丈夫です。」



その後は、思考の海に出ない様に、気をつけながら行動しました。


ランニングの後は、素振りや型の練習、そして魔法の練習などの日課を集中しておこないました。


どんな事も集中してやる方が効果的ですからね。


そして、朝の訓練を終えると、朝食を済まして、学園がスタートするまでの期間のラストスパートの意味での座学をお昼まで受けて、昼からの実地訓練をおこない、夕食を食べてから自主練をしました。



「なるほど。【並列思考】ですか。」



「はい。先生から【並列思考】というスキルがあると伺いましたので、明日より訓練しようと思います。協力して頂けますか?」



「もちろんです!」



「ありがとうございます。」



一日の終わりに、レオナさんに相談し、協力を仰ぎました。


ありがたい事に直ぐに承諾してくれたのです。


理解してくれる良き従者を得た事はありがたい事です。


神※※※※※様に感謝を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る