第9話 私に与えられた場所。
王宮は中央から東西の南北に広がる形です。
北の奥には後宮がありますので、南が王との謁見がおこなわれる場所など、外交に使われたりする施設があります。
東西には王族や来客や王宮で働く従者達の住居スペースになっています。
私に与えられた場所には住込みのメイドや従者を抱える事が出来る様に専用の部屋が10部屋あり、さらに私の部屋があります。
ワンフロアが私のスペースという風に言えば伝わるでしょうか?
場所は王宮の東北棟の一階の奥側から二番目の位置になります。
現在、最奥は空いているらしいです。
古来より王族の住居スペースとして東棟側が使われています。
成人した王族の内、現国王の直系である子供たちが北側で、それ以外の王族は南側に固まっています。
「「「お帰りなさいませ。」」」
僕専属のメイドの三人が僕を出迎えてくれました。
事前に顔を合わせているので、緊張はありません。
僕から見て一番右に立っているのが、メイド長のアデーレさん。
三人の中では一番の年上であろうと思われます。
長く王宮に使えており、母上の担当メイドさんでした。
なので、顔見知りというか、小さい時より知っています。
知っているだけに、安心感が違いますし、私の知識不足を補ってくれる事でしょう。
二人目は母上の故郷から派遣されてきた外国の方であり、ハーフエルフという種族のカリナさんです。
見た目は人族と変わりません。
そう言えば、ハーフエルフの方はこの世界でも迫害に合っていると聞いた事があります。
どうも、日本で読んだ事のある異世界モノの中に有る様な迫害の対象に合っているようですが、このエルケさんは、母上の故郷で大切に保護されてきた様で、迫害を受けた事は無いそうです。
見た目も、人族とほぼ変わりませんから、ハーフエルフとは思われないのかもしれませんね。
そして三人目は、人族のヘレナさんです。
彼女は我が国の貴族であるツィーゲ子爵家の四女だそうで、私よりも5歳年上で、学院を卒業されたばかりで今年16歳になる歳だそうです。
王宮仕えになる事が決まっており、卒業してすぐに王宮のメイドとして働きだした様で、今回の私の専属メイドになるのに、応募したら受かっちゃった的な感じだそうです。
歳が近い子が居るのは少し安心です。
「はい。ただいまです。」
「では、ここからは私がご案内します。」
アデーレさんが案内をしてくれました。
部屋の構成はリビングルームを中心に各部屋がある形です。
入口となる扉側に六つの部屋があり、ここが基本的に住込みの従者達やメイド達の部屋となります。
両サイドに二つずつ、計四部屋あり、応接室・お風呂(トイレ)・物置部屋・キッチンとなっており、その両サイドの奥に私の寝室と、執務室(書斎)があります。
後宮の母上の居住スペース程ではありませんが、かなり贅沢なスペースではないでしょうか?
「おぉ。」
「どうされました?」
「いや、想像していたより、広いので驚きました。」
「ふふふ。王族とはそれほど忙しい身分なのですよ。」
アデーレさんの言う様に、王族は王族としての責務・義務があり、学園の卒業と同時に色々と公務をさせられるらしく、忙しい身になるそうです。
まぁ、請け負う公務が何になるかによっても忙しさの幅があるそうですが、私は13番目ですし、上は健在なので忙しい公務は回ってこないでしょうけど。
王族はそれぞれに執務室が用意されています。
それに、これほど広いリビングルームも応接室も用意されているのは、対外的な目に対する所もありますが、応対する必要がある事の証でもあります。
今は10歳になったばかりで社交界デビューをしたばかりの小僧ですから、まだスケジュールの予定はほぼゼロですが、部屋を与えられた事もあり、徐々に増えていきますと、アデーレさんは言います。
「そうですか。もう少し、自身の修練をして過ごしたかったのですが。」
「ええ。それは問題ありません。それに年齢と13番目という立場であられますから、自由に出来るかと思います。ただ、ゼロになるという事はありませんので、ご容赦ください。」
エルヴィンさんが申し訳なさそうにそう教えてくれました。
「大丈夫です。なるべく少なくして頂ける様に調整して頂けたら、それで十分です。」
「ありがとうございます。」
エルヴィンさんの答えを聞き、頷きました。
偉そうだなと私自身思いますが、それが今の私に必要な対応なので仕方がありません。
逆にヘコヘコしてしまうと、当惑されてしまいますし、あまり良い印象を与えないそうです。
それに、この歳になるまでに、そういう教育を受けており、ある程度は普通に出来る様になっています。
最初は、戸惑い失敗を繰り返しましたけどね。
あまりにもヘコヘコし過ぎて、怪しまれた位です。
転生者である事は誰にも話していないので、変な子供だと思われているかも知れませんが、今更でしょう。
過去には戻れませんから。
さて、気を取り直して私の新たな生活のスタートを切りましょう。
「それでは皆さん。長い付き合いになるかと思います。末永く宜しくお願いします。」
「「「「「「よろしくお願いします。」」」」」」
改めての挨拶をして、部屋の運用をスタートさせました。
私の新たな生活は、どの様になっていくのでしょうか?
不安で一杯ですが、やるしかありません。
それに、今の人生での両親は健在ですし、ただ、王族として務めを果たさなければいけないだけです。
私の目標の為にも日々頑張るだけです。
頑張れる場所を頂いた事を、感謝しなければ罰が当たる事でしょう。
神※※※※※様に感謝を。
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