第7話 集団面談。



私の固有スキル【家族愛(ファミリー・ラブ)】は発動しませんでした。


つまり、彼女は【家族の魂】を宿していないと思うのですが、確証はありません。


愛する妻の魂では無いとは言い切れないと思うからです。


何故なら、人の顔とは両親から受け継ぐDNAと化学では照明できていないモノが含まれるからです。


歳を重ねると、その人の性格が顔に現れるとよく言われます。


それは科学では解明できていない事の一つであると思うのと同時に、顔に性格が出てくるというのも事実だと思うからです。


眉毛が太い人はやはり意志が強い、頑固である等の特徴を持つ方が多いというのは統計学上である程度の証明が成されているからです。


それに固有スキル【家族愛(ファミリー・ラブ)】を完全に理解していないというのもあります。


この固有スキル【家族愛(ファミリー・ラブ)】は、私の為にあるスキルと言って良いモノらしく、文献にありません。


もしかすると、実際には過去にあったのかもしれませんが、少なくとも、今現在の僕が目に出来る資料にはありませんでした。


【家族愛(ファミリー・ラブ)】については実感していくしか、今現在では手段がないのです。



「焦っても仕方がないか。」



「何を焦るのです?」



「母上?!」



私は、いつの間にか母上に抱きしめられていました。



「珍しいですね。ルシファリオちゃんが、ボーっとしているなんて。」



「そ、そうですか?」



母上は私の驚きを見てクスリと笑うと黙って、私を強く抱きしめました。


少しの間、そのままでしたが、母上は私の両腕を持ち、私に視線を合わせると、優しい笑顔を見せてくれました。



「貴方も成長しているのですね。気がつけば、もう10歳ですものね。何か悩み事?」



「いえ。物思いにふけっていただけです。」



「ふふふ。まぁそう言う事にしておきましょう。それより、今日は貴方の従者を決める日ですよ。もう皆が来ていますから、準備をしなさいな。」



そう、今日は10歳の誕生日を終えたので、自分の部屋と自分専属の従者を与えられる事になるのです。


このフリーア王国の王族の男子は、10歳を迎えて初めて専属の従者やメイドが与えられ、後宮ではなく王宮に部屋を与えられる事になっているのです。


今日はその為の専属メイドと専属従者を選定する日なのです。


私の場合は専属メイドについては、母上を中心とした姉上達により選ばれる事になっています。


ただし、従者は私が選ばなければいけません。


候補は20人も居るそうで、その中から選ぶようにと言われています。


どうやって選ぶのかは、私の自由だそうですが、そもそもその20人も大人達の都合で



「わかりました。準備してきます。」



「あぁ、そうそう。専属メイドはもう決まりましたよ。三人です。明日にでも紹介しますね。」



「わかりました。ありがとうございます。」



私は、母上に感謝を述べて、後宮にて与えられている自分の部屋へと戻りました。


そして、手早く準備を終えると、候補者が集まる部屋へと向かいました。





◇◇◇◆◇◇◇





私は、今回の人員決定については面談で決めるつもりでいました。


流石に20人も居るとは思っていなかったので。


まぁ、決めてしまったモノは仕方ありません。


ただ人数が多かったので、事前に履歴書を提示してもらいました。


履歴書をざっと見てから面談へと移ります。


今回は、10名10名に分かれて貰い集団面談という形をとりました。


私が部屋へ入ると既に準備をして待っていた最初の10名が居ました。


僕は一人で相手は十人です。



「では、これよりルシファリオ殿下の従者決定の為の集団面談を開始する。それではルシファリオ殿下、お願いします。」



今回の従者選別の担当貴族が宣言し、私へと振って来ました。


目の前に居る従者候補の10人から緊張感が伺えます。



「では、早速始めたい。先ずは各自のアピールをお願いしたい。先ずは左端の貴方から。」


「はっ!」



こうして、投げかけ、候補者がアピールを始めます。


自身の氏名から始まり、得意な事を語ったり、自身の一族の話だったり、自慢の話などをします。


ただし、人数が多いので、時間制限があり、その時間内でアピールをしてくれます。


進行役は担当貴族が進めてくれますので、私は再度履歴書を見ながら聞くだけです。


もちろん、気になる事があれば質問をします。


さて、従者に求めるモノですが、基本的には身の回りの世話はメイドがやってくれます。


なので、従者の役割はスケジュール管理や、今後あり得るであろう公務管理や代行。


そして私の補佐です。


補佐という広い意味の中には、貴族の名前であったり、顔であったりを憶える事であったり私が知らない事を教えたりと多岐に渡ります。


有能な者では無いと務まらない役目でもあります。


さらに、いざという時には、武も必要となる時があるのです。


中々万能な能力を求められます。


万能な者を数名雇うのか、一芸に秀でた者を役割分雇うかが必要です。


まぁ、10歳の子供にそれが決められるとは普通は思いません。


ですから、慣例となるこの候補者選定においては、分かり易く、試験を設けて決める事が多いそうです。


まぁ、私は精神年齢がオッサンなので、試験より実際に見て話して決めたいと思ったのでこういう形をとった訳です。


で、この集団面談においては個人のアピールの後に必ず、私は聞きました。



「君は、家族をどう思っている?」



かなり抽象的であり、様々な答えが出来る質問だと思います。


ある意味で難しく、ある意味で簡単な質問です。



「それは、どういう意味ですか?」



「言葉通りの意味だよ。」



意地悪ですが、敢えてこう返します。


知りたいのは、模範解答ではありません。


面談をするのは、その人となりが知りたいからなのですから。


楽しい時間が遅れました。


神※※※※※様に感謝を。

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