第5話 姉上達。
「さぁ、いよいよルシファリオちゃんも10歳の誕生日ですね~。」
数日後に私は誕生日を迎えます。
それを示唆する母上は、何故か嬉しそうです。
この世界では、10歳の誕生日を特別視している様です。
姉上達も10歳の誕生日は盛大なお祝いをしてもらっていました。
ある種の社交界への挨拶を兼ねている様でした。
「ルシファリオちゃんの誕生日会の服の準備は万端よ。安心して。」
母上がサムズアップしながら、ニッコリと笑っています。
正直、私は不安です。
何せ、現物を見ていないのです。
なぜなら採寸だけされて、服は母上を中心とした三人の姉上達が『ああでもない。』『こうでもない。』と激論を交わした末に決まったらしいデザインの服なのです。
嫌でも、着るしか無いのがツライところです。
まぁ、日々の服装も毎日勝手に決められているので、今更かもしれませんね。
ちなみに長女である一番目の姉上の名前は、シーラ・フォン・フリーアと言います。
今年で14歳になられます。
母上から受け継がれたと思われる金髪・色白・蒼目を備えた美少女へと成長されています。
将来的にはスタイルも母上に近づくのではないか?と皆さん期待されています。
但し、性格的にはおっとりとした母上に性格は似なかった様で、朴訥な感じです。
私程ではありませんが、偶に私の朝練に参加して一緒に訓練をする事もあります。
それに、一人で黙々と木剣を素振りしている姿をよく見かけます。
将来は騎士になるそうです。
王族が騎士になる事が本当に出来るのでしょうか?
そもそも、王族は他国への政略結婚などの道具として使われるのでは無いでしょうか?
「私は、武芸で身を立てる!」
とおっしゃっておられますが、現実的に難しいのでは無いでしょうか?
父の娘としては10番目の娘らしいので、私と同じ境遇なのかもしれませんね。
そして、次女と三女ですが、双子です。
父の娘として11番目と12番目の娘となります。
上が、セリア・フォン・フリーアで、下がアリア・フォン・フリーアと言います。
年齢は11歳で、少し子供から大人へと成長を始めているという感じでしょうか?
姿形は物凄く似ています。
所謂、一卵性双生児という奴でしょうか?
いつもではありませんが、発言がリンクします。
双子らしい双子と言えるかもしれません。
違いは髪の色と眼の色だけと言っても良いかもしれません。
セリアが紅眼・紅髪でアリアが緑目・緑髪なのです。
ああ、そうだ。
性格も違います。
母上に似たのは、セリア姉上で物凄くおっとりしています。
ザ・お嬢様と言えば良いでしょうか?
「ふふふ。ルシファリオちゃんを私のお婿さんにしてあげるね?」
いや、正真正銘の姉弟ですから無理です。
とツッコミを入れましたが、首を傾げて終了です。
だからと言って頭が悪い訳では無い様で、優秀な成績を上げているそうなのです。
私はそれを我が家の七不思議と言っています。
で、アリア姉上は元気一杯という言葉が良く似合う方です。
ハキハキ、シャキシャキしていると言えば良いのでしょうか?
ですが、外に出ると変わるみたいです。
お淑やかな様子を見せているとか?
まぁ、セリア姉上がぼんやりしている所があるので、いつも一緒に居るので引っ張る役目を追っているだけなのかもしれません。
朴訥なシーラ姉上とは違い、姉御肌的な感じがあります。
「ルシファリオちゃんは、私の後に着いてくれば良いのよ。」
と強引に僕の手を引っ張り、あちらこちらに連れまわそうとします。
面倒見も良い様で、学園でもいじめっ子を撲滅しているとか・・・。
ちなみに、運動も勉強も魔法も剣術も三人の姉上達は優秀だそうです。
正直セリア姉上の運動神経が良いとは思えなかったのですが、やるときはやるそうです。
三人とも、学園に通っています。
11歳から15歳までの五年間を学園で過ごします。
その学園の名前は『フリーア王国立デルセボス学園』と言います。
フリーア王国建国の父と言われる、初代フリーア王国の国王であり古代魔法の使い手であったとか、神龍を従えていたという伝説の人の名前を戴いた学校です。
ちなみに通常の学院は15歳で卒業となりますが、成績優秀で本人が希望すると、試験結果によっては院生としてさらに三年の修学が可能になっています。
日本の大学の様なシステムです。
学園に入学する資格としては年齢と入学試験に合格する事です。
また、フリーア王国内には同じ様に学園が存在します。
ですが、その中でも最古の学園であり、由緒正しい学園として『フリーア王国立デルセボス学園』は有名な学園です。
こうしてみると、修学するシステムが構築されている国ではありますね。
15歳になると、この国では成人としてみなされるようで、その為に修学が15歳になる歳までになっているとの事です。
ちなみに、この世界の一部の国を除いて同じ様に15歳を成人として見なすみたいです。
大人になるのが早いという事はそれだけ生存率や寿命が短いという事なのかもしれません。
「今から、ルシファリオちゃんの誕生日会が楽しみですねぇ~。」
そんな母上の言葉で僕は思考の海から戻ってきました。
「そうですね。学園が楽しみです。」
「まぁ。もう来年の事を考えているの?」
「ふふふ。ルシファリオちゃんは本当に学ぶ事が好きねぇ~。」
「ふん。もっと遊べば良いモノを。」
「まぁ、そこがルシファリオちゃんの長所だもんね。」
散々の言われ様な気がしますが、まぁいつもの事ですから気にしません。
先ずは、数日後の誕生日会を無事に乗り切らなければなりません。
なぜなら、自由になる為には、上手く社交界を乗り越えなければいけないからです。
そう、私が13番目とは言え、王族の王子だからです。
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