第3話 転生先にて。
この世界は、魔法があります。
その分だけ、化学は発展していない様です。
私は13番目とは言え、王子であるので、英才教育を受ける事が出来ています。
もちろん、魔術も剣術も習わされています。
『神崎茂男』である記憶があるのに、焦らないのは、ルシファリオ・フォン・フリーアとしての5年の記憶があるからなのかもしれないです。
母である第五王妃シャルロッテ・フォン・フリーアとしては、初の男の子なのだそうです。
だからなのでしょうか?滅茶苦茶に可愛がられるのです。
「ルシファリオちゃん。ルシファリオちゃん。そんなに動いてはなりません。」
「は、放してください母上。」
ことある毎に母上は私を抱きしめてくるのです。
「もう。あれほど、『ママ、ママ。』と言ってくれて抱きついてくれていたのに。誕生日以降は何かおかしいわねぇ。」
母上は28歳です。
43歳の記憶がある私には恥ずかしいばかりでなく、母上である事を強く認識しなければ、刺激が強すぎるのです。
母上のスタイルは育ちが良い所為か、整っています。
プロポーション抜群なのです。
更に、整った顔をしており、街に出たならば、男性ばかりか、女性すらも見入ってしまう事でしょう。
ブロンドの髪を腰まで伸ばし、色白の肌は透明感を持ち、人形の様に整った顔立ちで蒼い目をしている上に目が愛らしい目をしているのです。
自分がその息子である事を忘れてしまっては、オジサンである43歳が顔を出すのだから、刺激が強すぎるであろう事は想像して頂けるのではないでしょうか?
合法的には、母上の胸を触ろうが何も問題がないとは言え、私の倫理的にアウトなのです。
そんな状況下では大人の女性である母上に抱きつかれるという事が、どれだけの苦行なのかは分かって頂けると思います。
「もう、ルシファリオちゃんたら。そんなに恥ずかしがらないで。それとも母上が嫌いなの?」
母上の眼がウルウルとしています。
これはマズいです。逃げ過ぎました。
「そ、そんな事はありません!わかりました。」
こうなると、私は逃げきれないのです。
借りてきた猫の如く、母上のなすがままにギュッとされたり、頭を撫でられたりされるしかないのです。
母上は今の私にとっては、最大権力者であり最大保護者なのだから。
「あっ!母上だけズルい。私もルシファリオちゃんを抱っこしたい!」
そうなのです。
母上だけでは無いのです。
この5歳の体には姉が三人も居るのです。
姉をお持ちの方なら分かると思ういますが、姉上は一人でも大変なのです。
それが三人も居ます。
どういう状況になるかお分かり頂けるだろうか?
「私も~。」
「えへへへ。ルシファリオちゃん。カワイイ♪」
と、なすがままに成ってしまうという事を、お分かりいただけると思います。
大人の女性一人と少女一人と幼女二人に翻弄される私は、溜息をつくしかないのです。
◇◇◇◆◇◇◇
私は転生者です。
転生者であるからこそ、文字は得意ではないです。
しかし、言葉は5歳までの成長過程で話せる様になっています。
つまり『神崎茂男』という43年の人生に新たに『ルシファリオ・フォン・フリーア』としての五年が足されているという状態なのです。
人としての基礎は完全に形成されている5歳児の肉体を持つ者となる訳です。
更に、私はスキル『家族愛(ファミリー・ラブ)』というモノを与えられています。
この『家族愛(ファミリー・ラブ)』は私の自慢の家族が分かるというモノの様なのです。
愛する妻。愛する子供達の魂がその体にあるという事が分かるモノなのであると思うのですが、どうやらこれだけでは無いらしいのです。
と言うのも、私が家族であると認識している母上に三人の姉上の所在がわかるようになっています。
そして、私は家族に愛されるスキルであるとも考えています。
母上にしろ、三人の姉上にしろ、あまりにも『ルシファリオ・フォン・フリーア』を可愛がり過ぎるからです。
それとも、私の気の所為なのでしょうか?
どちらにしても、このスキルのおかげで、私の今の生が安全になるのなら問題は無いのですが。
そして、この世界を生きていく上で欠かせないのは魔法なのですが、現在は魔術が主流の様なのです。
魔術とは、魔法から発生した術式魔法で、凡庸性が高く、術式を覚える事で同じ現象を誰もが起こせるというモノらしいです。
では、本来の魔法とは何なのか?
本来の魔法とは魔力を使い現象を起こす事であり、その本人がその現象を起こそうとして起こしているモノなのだというのです。
つまり、想像できる事は何でも魔法で現象化する事が出来るという事です。
こう聞くと、魔法の方が良い様な気がするのだが、これはかなりのセンスが必要となり、魔力の消費も多くなると言われています。
それでは一般的に使う事が難しいので、術式が編み出されてきました。
ハイセンスの持ち主がある現象を考えだします。
その現象を誰でも使える様に、手順を考え組み合わせます。
それによって、考えだした者以外の者でも同じ現象を起こす事が出来る様になるのです。
それが魔術なのだそうです。
まぁ、魔術も魔法と総称される訳ですけど。
その為、適正属性というのは基本的には存在しないが、得意・不得意は存在するので、それを適正属性と言ったりするみたいです。
これはあくまでも、現代魔術についてです。
精霊魔法というモノはそもそも原理が違います。
精霊魔法は精霊の力を借りて行使する現象です。
よって、精霊によって使える・使えないという属性や現象があります。
現代魔術は体内の魔力と自然界に満ちている魔力を使って行使するのですが、現代魔術はより凡庸性を持つ為に、自然界に満ちた魔力を多く使用します。
古代魔術はその逆で、体内魔力を多く使用します。
その分、凡庸性はなくなるが、現代魔術より強力な現象を起こせるそうです。
で、私は血筋の所為か?それとも転生者だからなのか?
魔力量が平均よりも遥かに多いらしいです。
「ルシファリオ様は魔力が常人の10倍以上もあるようですな。これからの成長が楽しみですのぉ~。」
僕の魔術の先生であるガンツ師匠から、そう言われたのでした。
その時の僕の感想は『これでこの世界でも生きていける道筋が見えた。』でした。
我が身に過大なお力をお与えくださり、ありがとうございます。
神※※※※※様に感謝を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます