第10話 ページ28 結婚(再会)
「雨が降ってる」
「良かったじゃないか、りん。これって本当にジューン・ブライドだな。りん、俺達……幸せになろうな」
「うん……幸せにしてね」
「ああ、まかせてくれ」
今は六月。私達は結婚式場にいて窓の外を見ていた。窓の外は雨がシトシトと優しく降っていた。
私は「
◇ ◇ ◇
「あれっ? 今日は雨が降ってない……」
朝目覚めて、窓の外を見てみた。いつもなら、将太の命日は雨ばかり降っていたのに今日は快晴だ。その夏の彼の命日の日も、恒例になったお墓参りに来ていた。
蒋太が亡くなってから毎年私は欠かさずに、お墓参りに来ていたが今日は雨が降っていなかった。TVの天気予報では当分の間、快晴との事だった。うだる様な熱気の中、白い麦藁帽子をかぶり白く薄手のワンピースを着てお墓参りに行った。
毎年の恒例の行事。花を買い、お墓に活けて線香を焚き両手を合わせる。傍らでは、活けたお花が風に揺れていて、セミの声が暑さを更に感じさせる様に鳴いている。
「将ちゃん、今日は珍しく、晴れたね……」
お墓に向かって呟くと、私は静かに背を向けてお墓を後にした。
お寺の山門を潜る時、五~六人のグループとすれ違った。ガヤガヤと騒がしい。しかし、不思議と休まる様な懐かしさも感じたのだ。何だこの感じは?
その時、風のイタズラか一瞬ふわっと風が起き、私の麦藁帽子が飛ばされてしまった。
「――アッ……」
帽子の後を追いかける様に歩いて行くと、すれ違ったグループの一人が私の帽子を拾ってくれた。
「ありがとうございます……」
「はい、どうぞ。アレッ?~もしかして、りん? 朝倉可鈴?」
「はい、そうですけど?……」
誰だろうこの人? 私の事、知ってるみたいだけど……思い出せない……。
相手の顔を見ながら、思考をフル回転させてみたけど思い出せない。一体誰だろう? どこかで会ったような……?一体、どこで?
「オレ、オレだよオレ、オレ。昌人。ほれっ宮沢昌人。どうだ?思い出したか?」
「マサト? まさと? ああっ、昌人?……」
先程すれ違う瞬間、妙に懐かしさを感じたのはこの所為だったのか? 途端に当時の中学時代の事が頭をよぎる。
「昌人」私の中学時代の時の彼氏。淡い恋心を覚え、トキメキを感じていた彼だ。
最後に会ってから何年経ったのだろう。十一年だ。十年一昔と云うけれど十一年も経つと顔も体型も変ってしまう。私の頭の中は回想中だが、昌人は尚も喋っている。
「りん、久ぶりだな。元気か? お前、あんまし変ってねぇな。オレなんか、一目ですぐ解ったぜ」
「――昌人……ウウッ……」
突然の再会で、私の頭は混乱していた。未だに蒋太の影を引きずっているのに、初恋の相手である昌人に会ってしまったからだ。悲しみ・寂しさ・懐かしさが、私の頭の中でグルグルと交錯して行く。パニックになった私はつい泣き出してしまった。どうしよう?っ てか頭の中が真っ白になってしまった。
「おい、どうした、りん?」
「——ウウッ…ウウッ……まさと———」
普通なら再会を共に喜ぶ場合だが、いきなり泣きついてくる女に大抵の男は引くのが正常というものだ。しかし昌人は、私に胸を貸してくれた。中学の時は痩せていたけど、十一年経った今はガッシリとした胸板だった。
約十分ぐらい泣いたら、私も幾分かは落着いてきた。私は昌人からそっと離れた。
「……ごめんね……服、濡らしちゃった……」
「いいんだよ、りん。ちょっと待っていてくれるかな?」
「――うん……」
昌人は私にそう言うと、墓地の中に消えて行った。家族を追って行ったのだろう。私の墓参りは終わったけど、昌人はまだ参ってはいない。
私は昌人の言葉に、催眠術に掛かった様に動けなかった。久しぶりに会った昌人に、私の壊れかけた心を癒して欲しかったのかも知れない。
しかしながら、今は夏。ジリジリと照りつける太陽を受けると、立っているのも結構辛い。私は自分の車の中で待つ事にした。車のエンジンを架け、エアコンのスイッチを入れる。狭い車の空間の中で、快適な温度の風がゴォーと言う雑音と共に流れ出す。
ふと、シートを倒して空を見た。どこまでも青く美しい空が無限の様に広がっている。白い雲は漂々と流れ、その流れゆく雲を見て無情を感じるのはなぜだろうか。
いつの時代でも空の青さは変らないのだろうか。古く地上に人々が生まれた時代から現在に至るまで、ずっと空の青さは変らないのだろうか。多くの命が生まれ、そして亡くなっても、空の青さは変らないのだろうか。人はどこから来て、どこへ辿り着こうとしているのだろうか。なぜか、そんな事を考えると勝手に又頬に涙が落ちてきた。涙を拭かず、ずっと流れる雲を見ていた。
暫らく憂鬱に浸っていたら、昌人がやって来た。《コンコン》と車の窓を軽く叩き、私に合図した。私は昌人に気付かれない様に、横を向いて大慌てで涙を拭いた。
「わりぃ、待たせたな。所で、りん今日暇か? 実はオレも暇で、暇で……何処か行かないか? もちろん、りんさえ良かったらだけど?……」
「――うん、いいよ……」
昌人は私の車の助手席に座った。私に昌人は気を使っている。久々の再会なのに、突然泣き出した私を放って置けなかったのだろう。そんな優しい所は昔のままだ。
「どこ行く?」
「そうだなぁ……オレこっちへ帰って来たの久しぶりだから、海が見たいなぁ。あのコブ島へ行かないか?」
「エエッーコブ島?……」
「どうした、嫌か?」
「いや…いいよ……」
コブ島は花火大会が行われる場所なのだ。本当は行きたくない。なぜなら将太との想い出が詰まっている場所なのだから。行けば私の事だから、又きっと泣き出してしまうかも知れないのだ。しかし、なぜか断る事が出来なかった。車を回して海へと向かった。
車の中では昌人は喋りっぱなしだ。昔の事や、今に至るまで。昌人は昌人なりに私の事を盛り上げようとしているのだろう。
数十分後に海が見えてきた。車の窓を開けると、私のセミロングの髪をもてあそぶ様に潮風が入ってくる。ホッとする様でも有り、切なくなる様な、不思議な感じだ。
やがて車は、コブ島が見える浜に着いた。昌人は車から降りるとまるで子供の様にハシャイでいる。
「うひょー、久しぶりだな~あのコブ島見てると何だか落着くよな———あっ~海パン持ってくれば良かったなぁー……残念!」
「何言ってんの? お盆過ぎたらクラゲが出るでしょ?」
「ああっ、そうだったかな~でもクラゲに刺されてもいいから泳ぎたかったなぁ~」
「バカ……」
浜辺を見ると、人影はマバラだ。お盆を過ぎると、この地方ではクラゲが出てくるのだ。だから、地元の人は今の時期は泳がない。昌人も十分に解っているのに、わざと冗談めいた事を言っている。私の事を気遣っているのが痛いほど伝わってくる。
「折角だからさぁ、りん・浜辺でも歩かないか?」
「――うん……」
サンダルを脱いで浜辺へと歩いて行く。まもなく夕方に近い時間がやってくるが、焼けた砂が妙に素足を焼いて心地いい。寄せては返す波打ち際も、火照った足を冷やすのに心地よい。私はスカートの裾を少しだけ持ち上げて、波打ち際を昌人と並んで歩いた。
先程まであんなに一人で喋っていた昌人だったが、今はやけに無口になった。沈黙のまま浜辺を歩く。
いつのまにか、浜辺の果ての防波堤まで来てしまった。辺りはもう少しで日が落ち様としている。
「りん、少し座らないか?」
「――うん……」
別に疲れてはいないが、防波堤に並んで昌人と座り、夕日が海を染めていく様を暫くボンヤリと眺めた。
「りん、すごく辛い思いしたんだなぁ」
「――うん……」
昌人は私の事を知っていたのだ。誰かに聞いたのだろう昔の事を。そして今、まだ将太の影を引きずっている事も解っていたのだろう。静かな海に落ちていく夕日を観ながら私はただ、うなずくしかなかった。
「どうすればいいの? どうすれば……どうすれば蒋太の事、忘れられるの?……」
不意に私の頬に涙が落ちていく。
「オレさぁ、あんまりよく解んねぇけど……。その、昔の彼氏の事、無理に忘れようとしなくても良いんじゃないか? そりゃ確かに辛く苦しいけど、別に無理に忘れようとしたらその分だけ辛くなると思うんだ……。月並みだけど、時間が掛かるかなぁって思うよ……。それに、亡くなった彼氏の事を忘れるんじゃなくて、何て言うか、心の奥の引き出しに置いておけば良いんじゃないかなぁ? その彼氏の良い思い出だって在る訳だし……忘れちゃうとその彼氏の事を否定するって、りんはそう思ってるんだろ?」
「――うん……」
昌人には私の思いを全て解っていたのだ。しかも、『無理に忘れるんじゃなくて心の奥底に思い出を大事にそっと置いておく』と云う言葉に、私の心は揺れた。そう、自分でも何となく解っていたが、第三者から言われると、心の奥に響く。当たり前に時間が必要な事は誰もが言うけれど、昌人の言葉には妙な安心感があった。
「りん、こういう時は、何か新しい事にチャレンジした方がいいんだぜ。例えば、自分が未知の分野に興味があるのなら、その分野を追求していけばいいんだ。仕事でも、趣味でも何だっていいんだ。新しい事を見つけて、始めようか?」
「うん、うん……」
私は喋れる余裕など無い。頬を伝う涙を拭こうとはせず、ただ、うなずくしかなかった。
「りん、見て見ろよ。あの海に沈む夕日。辺りを真っ赤に染めている。人には決して出来ない自然のなせる技って感じだな。何万年前からずっと繰り返してきている。
俺達人間ってヤツは、八十年ぐらいしか生きられないだろ? だったらその命の枠の中で、どう生きるか? が問題だと俺は思うんだ。ちょっと話の筋が違うかも知れないが『笑って暮らすも一生。泣いて暮らすのも一生』なら、俺は笑って暮らしたいなぁ。そりゃ、彼氏の事を想えば、辛く苦しいよ。 親も、いや俺達だっていつかは死んじゃうんだ。だから、身近な人の死を乗り越えて行かないと自分が潰れちゃうだろ?……でも、そこから何か大きな何かを得る事が出来ると思うんだ……。
そうそう、俺の会社の同僚に海外で住んでいたヤツがいてさ、宗教の言葉をよく使うんだ。
『人には時として試練を与えられる。その試練は、その人に見合った内容で必ずや乗り越えられるだろう。その試練を乗り越えた時、その者はきっと大きく成長出来る』って言ってたよ。ゴメン、何か旨く言えなくて……そうだ、俺で良かったら愚痴でも何でも聞いてやるぜ……」
優しく話す昌人の言葉一つ一つが、ズンズンと私の心へ刺さるように響いてくる。私は昌人の肩に頭を預け、泣き出した。
「ごめんね……ううん、ありがとう……こんな私の為に……ううっ………」
「いいんだょ、泣きたい時は泣けばいいんだ。我慢するとそれだけ苦しくなるから……」
昌人は私の肩にそっと手を回して、私が泣きやすい様に座ったままの姿勢で抱きしめてくれた。懐かしい昌人の声、匂い。懐かしさと当時変わらぬ優しさが私を包んでいく。
海を染めている夕日も、やがて海の中へ落ちようとしている。穏やかな潮風と昌人に肩を抱かれ泣いていると、私のかたくなな心もようやく、癒される様な感じがしてくる。それは雪国の春と云った感じで、重く重なった雪や氷が少しずつ、少しずつ溶けて行く様な感じがする。春を待ちわびた草木や、花の様に私の心はこの瞬間を待っていたのだろうか……。
数分後、私は泣きやむと昌人からそっと離れた。辺りは夕日が落ち、暗くなっている。反対方向の防波堤から灯台の光が、遙か遠い海の彼方を照らしているのが幻想的にみえる。
「りん、暗くなったから、帰ろうか? 俺、腹も減っちゃったから」
昌人は立ち上がると、確かに昌人のお腹から“グ~ウッ” とお腹が鳴る音が聞こえた。
「アハハッ、もしかして、今の音聞こえた?……ホント俺ってムードも何もありゃしないよなぁ~ハハハッ~」
そう言って昌人は私に手を差し出した。私は、差し出されたその手をシッカリと掴むとユックリ立ち上がった。
「フフフッ……ほんと昔のまんまだね……」
「アッ、今りん、笑った。やっぱお前は笑った方がいいよ」
「うん、ありがとう……」
やがて、私達は帰る事とした。手を離そうとはせず、そのまま手を繋いだまま、来た道を返す。波打ち際はもう冷たくなっているが、それが換えって心地よさを運んでくるようだった。
昌人の手は大きくて温かい。手をつなぐと、不思議と相手の心の温もりが伝わってくる様なそんな気がする。
不意に見上げた夜空は満天の星が瞬いていた。こんなに夜空って綺麗だったんだ。改めて思うとこの八年間の重みがス~ッと消えて行くようだ。今日、昌人に再会出来て本当に良かった。もし今日昌人に出会えないでいたら、私はこれから先も、ずっと同じ思いで生きていたのかも知れない。
「――ありがとう……」
小さい声で呟くと、昌人が振り返った。
「んっ? 何か言った?」
「ううん、何でもない……今日は、本当にありがとうね。あの、又、会ってくれるかな?」
「ああ、いいよ。でも俺、県外だから毎日って訳にはいかないよ」
「ホント?……でも彼女とかには悪くないの?」
「全然構わないよ。だって俺、去年彼女に振られて、今・独り身だから」
「エエッ~何で振られたの?」
「解んねぇよ、ただ俺ってストレートでムードも無いだろ? 多分そこが嫌になったんじゃないか?」
「確かに。でも、そこが昌人の良い所じゃん」
「だろ? 俺も落ち込んだ時期が合ったけど、やっぱそう思うんだよ。だから今は開き直ってる」
「フフフ、そうね、昌人はそれでなくっちゃね。昌人らしく無いわ」
そうこう話しながら歩いていると、私達はもう車の所まで来てしまった。足の砂を払いながら、サンダルを履き車に乗り込んだ。昌人も同じように、スニーカーを履き助手席に乗り込む。乗り込んだと同時に又、昌人のお腹の音が響いた。
《ぐ~う》
「アハハッ、さあ、飯でも食べに行こうか?」
「フフフ、そうね」
私達は車に乗り込むと食事を取りに夜の町へ車を走らせた。
田舎の町に最近出来たばかりの、居酒屋系のファミレスで食べる事にした。店に入ると、結構にぎわっている。空いている席に昌人と座り注文する。周りではビールを飲んでいる人もいる。ファミレスだけど酒類は有る。昌人もビールを飲み肴を食べた。私も酒やビールを飲みたい心境だったが、残念ながら全くアルコール類は受付ない体質なのだ。少しでも飲めば吐きそうになる。それに、私は車が有るから、当然飲めない。飲酒運転はもっての外だ。一方、ビールの所為か昌人は酔っぱらって、益々冗舌になっている。元々陽気な性格なのだろう。
幾分か、お腹は満たされたので私達は店を出る事にした。
車に乗ると昌人はシートを倒して眠ってしまった。空きっ腹にビールは良く効いたのだろう。私は昌人を起こさない様に車を走らせ家に向かった。
ラジオのスイッチを入れると、聞きなれたDJがしきりに喋っている。やがて、音楽がかかり始めた。どこかで聞いたメロディが耳に入ってくる。
私はアッ!と思った。『レニィー・ブルー』だ。以前は、この歌を聴きながら、私と将太をオーバーラップさせてよく泣いたからだ。いつもの私なら音を大きくして、泣きながら聴いていたが、今は聴きたくない……そんな心境だ。ラジオの電源のスイッチを切ろうとした手が、なぜか躊躇したように止まった。
いや、今なら泣かずにこの歌を最後まで聴ける。昌人も言っていたではないか、私の越えなければならない『試練』なのだから……。なぜかそう思い、手をすうっと引っ込めた。ラジオから静かに曲が流れ出す。~♪
『人〇も見えない、午前0時
電話○oxの外は雨
かけ慣れたダイヤル〇しかけて
ふと、指を止める
レニーブルーもう〇わったはずなのに
レニーブルーなぜ〇いかけるの
あなたの幻、〇すように
私も〇日は、そっと雨……♪』
哀しい歌だ。でも今は最後まで泣かずに聴く事が出来た。二番目の最後のフレーズが終わると、不意に昌人が話し掛けてきた。
「りん、よく泣かずにこの歌・最後まで聴けたなぁ……よく頑張ったよ。俺は、お前が号泣するのかと思ってたんだ。うん、よかった……」
昌人は起きていた。いや、寝ていたがラジオの音で目が覚めたのかも知れない。それでもやはり私の事を心配している。
「うん、大丈夫とはまだ言えないけど、私・頑張ってみるね」
「ああ、そうだな」
やがて車は私の家を通り過ぎ、昌人の家の前まできた。私と昌人との家は近所で、車で三分ぐらいの所にある。
昌人は車から降り際に私に言った。
「りん、これ俺のアパートの電話番号だ。いいか、頑張るのと無理をするのは同じ意味じゃない……俺は、りんに無理はして欲しくない。頑張っても、人間だから限界がある。そんな時は、決して無理はするんじゃないぞ。そんな時は、この俺に電話してくれ。いいか、絶対だぞ。今度は、俺が、俺が、お前の事、守ってやるからな……絶対に困ったら、電話するんだぞ」
車から昌人を降ろした別れ際に、昌人からこんな告白じみた事を言われるとは思いもよらなかった。ここまで言われる事に、私の心はただただ感謝の気持ちでいっぱいになった。
「――昌人……」
私は、運転席のドアを開け、昌人に駆け寄っていた。
「昌人……こんなボロボロの私でいいの?……」
「ああ、俺なら全然構わないよ……何せ、りんは俺の初恋の相手だからな大事にしたいのさ」
「――アアッ…昌人……」
嬉しさで胸がいっぱいになった私はうれし涙で昌人に抱き付いていた。
暫くの抱擁の後、私は家に帰る事にした。本当はまだ暫くこのままでいたい。でも、家では両親が私の事を心配している。私は後ろ髪を引かれる思いで車に乗り、家を目指した。車のバック・ミラーを見ると、いつまでも昌人は手を振り続けていた。
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