開店2ヶ月目 イスラフィエル2

 そして、1週間が過ぎ、演奏会という日を設けた。お店の中をみんなで飾り付けをした。カフェを盛り上げようとしてみんなで頑張った。演奏と一緒にカフェを楽しめる。一番は、お客さんが楽しんでくれて、笑顔になることだ。


 演奏は、お昼くらいに演奏予定にしてある。たくさんの人に演奏を聴いてほしい。そう思いお店が忙しい時間帯にした。


「イスラフィエルさん! 準備はいい? 演奏楽しんできて!」


「あ・・・りがとうございます。なんて言えばいいか・・・」


「お礼は、演奏の後で聞くわ。頑張ってきてね」


 イスラフィエルは、眼をキラキラして登場した。お客さんも大勢いた。コーヒー飲んでいるお客さんやお昼を食べてるお客さんが、みんな拍手をしている。


 一呼吸おいて、イスラフィエルは、ラッパを吹き始める。とても明るい曲で、みんなが元気になれる曲を選んでくれたらしい。聞いてても心地良い、いい曲。お昼が終わって、午後からも仕事を頑張って欲しいという意味も込めた演奏。ラッパを吹いている彼は、とても楽しそうだった。


 演奏が終わり、お客さんは彼の演奏に拍手喝采。お客さんに一礼をして、スッキリした顔で後ろに戻ってきた。


「イスラフィエルさん! 演奏とっても良かったです!」


「本当にありがとうございました。なんてお礼言っていいか・・・あのひとつお願いが・・・」


「お願い?」


「・・・今度・・・来た時・・・また演奏をさせてもらえないでしょうか!」


「もちろん! いつでも遊びに来てください。このお店がつぶれない限りは私はここにいますから・・・」


「だな! つぶれない様に頑張らないと!」


「ありがとうございます。・・・私そろそろ地獄の監視に戻らないといけない時間になりました。店長・・・叶奈店長・・・最後にこれをお渡しします。」


「これは?」


「お守りです。水の・・・近くに気配がするんです。水の悪魔の匂いが・・・これを持っていれば、役に立つかもしれません。説明書はお守りの中に入っているので読んでください。後は3人が守ってくれるでしょう。」


「俺達がいる限り、店長は守ってやるよ。」


「店長のこと本当に守れるの?かっこよく言ってるけど嘘くさ~」


「レムレム~」


「イスラフィエル・・・水の悪魔とは?どんな悪魔か分かるか?」


「今のところは・・・気配を出したり、気配を消してあまり分かりませんが・・・夜、気配を出すことが多いです。ただ、手強い相手になると思うので・・・手出ししない方がいいと思います。」


「分かった。ありがとう。どっちにしても倒さなくなるかもしれないなぁ~」


「では、私は帰ります。お世話になりました。」


「また来てくださいね。待っています。」


「レムレムも待ってるよーん」


 みんなでイスラフィエルさんを見送った。


「アゼル様~水の悪魔なんていましたっけ?」


「俺は、あまり知らない・・・興味ないしな。」


「悪い悪魔なんていない気がするけどなぁ~仲間に入りたいから悪さをしているとかはあるかもしれないけど・・・」


「だったら水の悪魔が来て、悪い悪魔だったら倒そうぜ! 害のない悪魔を倒しても意味ないだろ?」


「まさか・・・悪魔に言われるとは・・・」


「俺は、悪い悪魔じゃねぇし」


「悪い悪魔でしょ! いつもレムレムの殴ろうとするし、絶対悪い悪魔だよ!絶対そう!」


「なんか言ったか? レムレム?」


「なにも言ってませーん!」


「うふふふ」


「あ!店長やっと笑ってくれた~良かったね。アゼル様! ラファエル様! ずっと心配してたから」


「「うるさい」」


「あはははは!」


「「店長笑いすぎ」」


「だ・・・だって息ぴったりなんだもん!それにケンカしているようでみんな仲が良いよね。悪魔も天使も関係ないだね」

「「・・・・・」」


「二人がしゃべってないからレムレムが心の中を代弁してあげるね。店長が笑ってくれて安心したってさ」


「私は、いつも元気だよ。でも心配してくれてありがとう」


「で・・・水の悪魔は? どうすんの?」


「来てから考えるって結論になっただろ!」


「じゃあ近くに来てたらどうするんだよ!」

「「え!」」


 アゼルとレムレムが同時にラファエルの方に振り返る。


「嘘・・・まだ来てない。」


「嘘かよ」


「ラファエル様びっくりさせないで!」


「ん?外から歌声が聞こえる。」


「どうした? 叶奈店長?」


「外から歌声がするの・・・」


「歌声?俺は何も聞こえないけど・・・」


「店長! 疲れてるんじゃないの?」


「そうかなぁ~気のせいかなぁ~何もなければいいんだけど・・・」


「・・・・・・」

 

 ラファエルは、店長が何かの気配に気づいたことに不思議に思い、外を見たが誰もいなかった。





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