天使、空から降ってくる&おまけ 天の国

「何も降りてこないじゃない…」


 外に出て、上を見上げても何も見えなかった。なので、外に立っていた小次郎さんに話しかけることにした。


「あの…小次郎さん、外に立っていて寒くないですか?」


「……すぅ…すぅ」


 話しかけても、小次郎さんは何の反応もなかった。


「あ…あの…こじろ…ぎゃぁ!!!!」


 もう一度、話しかけようとした瞬間、何かが上から降ってきて、私の背中の上に乗っていた。


「い…ててて…あ…あの…私の上に乗っているのはどなたですか? とても重たいのですが…」


 小次郎さん…助けて…私、押し潰されてますよ…って小次郎さん寝てるし…ボディガードなのに寝てたら駄目でしょ!!!


「ここは、日本か…私は、ラファエルという。父から『恋カフェという店を手伝え』と言われたんだ。知っているか?」


 ん? 何も反応がない? それに…この男からは、人間の匂いがしない?…もしや…人間ではないのか? 人間になって日本に住んでいる者達がいると、聞いたことがあるが…


「………」


「聞こえてないみたいだなぁ~どうしたものか…」


 上から落ちて来たラファエルと言う人は、マイペースに、小次郎さんに向かって話をかけていた。もちろん、私の声は聞こえていない。


 まさか! この人が、おじいちゃんのいう助っ人! 背中にきれいな…白い羽…


「あの!」


 私は、必死に大声を出した。


「ん? どこからか声がするなぁ~どこにいる?」


「ここです。あなたの下にいます。」


「下? あぁ…アハハハ…いたのか…すまない、気づかなかった…」


 私の上からどいてくれたので、体を起こした。


「私は、ミカエルから頼まれて来た。恋カフェは、どこか知っているか?」


「ここです!」


「おぉ! そうか! ちょうどいいところに、私を落とすなんてミカエルもなかなかやるな!」


 話している間に、父とおじいちゃんが外に出てきた。


「大丈夫か? 叶奈!」


「遅いよ…」


「おぉ! 来たか…待ちくたびれたぞ…おい…小次郎、また寝ていたのか? 全くお前は、昼間に弱いな…」


「…幸兵衛様…もうしわけございません…今日は、な…ん…だ…か…とっても眠くて…すぅ…すぅ…」


「ダメだな…もう寝たか…しゃべりながら寝るとは、よほど眠かったんだな。しばらく寝かしておこう…」


「お待たせしました。父ミカエルを助けてくれたおじい様ですか? わたくしミカエルの息子、ラファエルです。お店を手伝いに来ました。早速、何を手伝いましょうか?」


「早速と言いたいところじゃが…もうひとり来ていないんじゃ…」


「もうひとり? 来るのですか?」


 ラファエルは、首を傾げて不思議そうな顔で聞いた。


「叶奈! ここで問題じゃ! 天使と言ったら…?」


「急に問題出すの? おじいちゃん? ん…もしかして…悪魔とか言わないよね?」


「正解! 叶奈よく分かったな!」


 問題を出して会話をするおじいちゃん。面白く話を進めようとしていた。


「!!!! あの…外から女性の声が聞こえませんか?」

 

 ラファエルが言ったその瞬間、外から女性の悲鳴が聞こえた。



――天の国にて おまけ――


「は…はっ…くしょん!!!!!」


 その頃…天の国では、ミカエルが外まで聞こえるようなくしゃみをしていた。


「ミカエル様、大丈夫ですか? 大きなくしゃみが、外まで聞こえてみんなびっくりしていますよ。」

「ああ…私は大丈夫だ。もしや…偉大なるミカエルについて、噂でもしているのか。」

 

 …誰もミカエル様について話していないことを、いつ気づくのだろうか? だが、否定的なことを言うと仕事しなくなるから、なんとかして気分だけでも私が…上げないと!



 部下の一人、アラキバが心の中で独り言をつぶやいた。


「ラファエル様が、日本でミカエル様のことを話しているのでは?」


「ラファエルか…今、何をしているか気になるな…まさか! あいつ大勢の女性達に、囲まれながら手伝っているんだな。羨ましいぞ。」


「ミカエル様も女性に、囲まれているじゃないですか! そんなことより、さぁ…仕事に行きますよ。ミカエル様!」


「な…なにをする! アラキバ! は…離せ!私は、仕事なんて行かないからな」


「ミカエル様、わかがまま言わないでください。」


「それに…」


「???」


「仕事が終われば、女性と遊び放題ですよ。」


 ミカエルの耳元でアラキバが、悪魔のささやきのように伝えた。


 ミカエルはアラキバの言葉を聞き、素直に仕事へ向かった。

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