救世主? おじいちゃん現る2

「まぁ…こんな事もあろうかと"助っ人"を呼んであるから安心しなさい。二人は、もうすぐ来るはずなんだがおかしいのぉ」


「助っ人?」


「バイトでも雇うのかよ」


「わしが、この店をやっている時、店の前でお腹を空かせて倒れていたのじゃ。その時、助けたんだ…その後、店を手伝ってくれた変わり者がいたのじゃ…」


「どんな"人"なんですか?」


「”人”ではない。説明は難しいが…背中に羽が生えていて、”雲の上”と”日本の下の方”住んでいる」


「そんな変わり者を雇って、どうする気だよ…」


「"変わり者だろう"と"人間だろう"とわしには関係ない。困っていたから助けただけじゃ」


「あとは、顔がイケメンなんじゃよ! 女性は、イケメンに弱い! 男性は、ボン・キュッ・ボンが好きじゃろ? 正之?」


「俺は、女性が好きだ―!!!」


「はぁ~」


 お店に、お客さんがいないからいいけど、心の声が漏れてるんですけど! あー…もう! 男ってなんでこんな話が好きなんだろ…ついていけないわ…


 父とおじいちゃんは興奮しながら、しばらく話は続いた。私は、二人の会話を呆れながら聞いていた。


「ゴホン、これから"恋カフェ立て直し大作戦"を開始する」


 咳して話を元に戻そうとするおじいちゃん。


「「さ…作戦?」」


「作戦じゃ」


「まずは、叶奈ちゃん、今日から店長やりなさい。 学校の時は、正之が手伝ってやれ。」


「店長…私にできるかな?」


「俺が、全力で叶奈のサポートはする。」


「期限は、5ヶ月。その間に人が来ない場合は、この店を閉める。」


 お店を閉める…そんなの私は…嫌だ。


「叶奈、短い間この店の経営をやってみないか?」


「私、勢いで"お店やる"って言ったから、少しの間ならお店やるよ。」


「本当か? 俺も"手伝う"から安心しろ!」


「……」


 お父さんの"手伝う"とか"安心しろ"いう言葉は、信用できない。だったら、最初からお店頑張ればいいのに…


「あと、お店の名前も改名する。」


「名前も変えるのかよ。」


「正之は、ダサい名前を付けたもんだ。もっといい名前は、なかったのか?」


「意外と店の名前…気に入ってるんだけどなぁ~」


「名前は、すでに考えておる。全員揃ってから発表する。」


 お店の名前を"ダサい"と言われてショックを受けていた。



「それからカフェのみだと、店の盛り上がりに欠けるから、相談室も兼ね備えて一緒に運営する。相談室と言っても簡単な悩み相談じゃ。聞き上手二人も来る事だし、任せるとしよう。」


「聞き上手?」


「助っ人二人のことじゃよ。イケメンに解決してもらうとなれば、女性も喜ぶはず。全ては助っ人にかかっているからのぉ。」


 「そういえば…おじいちゃん。助っ人の二人遅いけど来るんだよね?」


「来るはずじゃ…ずいぶんと遅いなぁ~もう昼の十二時になるのか…悪いが、叶奈ちゃん、外を見てきてくれないか? きっと"上"から来るはず…」


「わかりました。今、見てきます。」


 私は、店の外へ出た。外は、雪が降っていた。

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