第18話 闇の怪物の最期
ダーククロイツの腹部のドラゴン達が黒い炎を吐き、鋭い爪が生えた腕を伸ばしてこちらに掴みかかってきた。
レオは柱の影から飛び出して炎をよけ、伸びてきた手に噛み付いた。シルバーソードも躍り出て、銀の剣でダーククロイツの腕を切り落とした。
ジュンがダーククロイツを見ると胸の中心が黒く輝いているのが見えた。
「スナイパーシリウス!胸の中心を狙って!」
スナイパーシリウスは黒く輝いている部分を見事に打ち抜いた。
しかしダーククロイツは恐ろしい笑い声を上げて笑うだけでびくともしない。切り落とした腕はすぐにまた生えてしまい、闇黒石には鉱石力抑制装置の弾は小さすぎるのか、全く効いていないように見える。何度か攻防をしたがダーククロイツの力が強大すぎて3体のロボットでも歯が立たなかった。
ドラゴンの封印と、モンスターと闘うのは全く違うんだ!とジュンは改めて理解した。これまでの経験も役に立たないのか。ジュンはしぼみそうになる心を自分で必死に励ました。僕なら、きっと乗り越えられる!乗り越える方法を考えるんだ!
そうしているうちに何本にも増えたダーククロイツの魔の手がジュンの背後から伸びてきた。
「あぶない!ジュン!」
ニノが再び水の塊をジュンの前に作りガードしたが、今度はニノ自身が後ろから伸びてきた手に掴まれてしまった。
「ニノ!テレポーテーションで逃げるんだ!」
「しようとしてるんだけど、なぜか出来ないんだよ!」
ニノがもがきながら言った。シルバーソードがニノを掴まれた腕に斬りかかり腕を切り落としたが、手に掴まれたまま落ちたニノは、またもやちがう手につかまれてしまった。ニノを掴んだ手がズルズルとダーククロイツの腹の方に戻っていき、ニノを腹から生えているドラゴンの口の中に入れようとした。
「ニノー!」
「ジュン!」
ジュンは心の中で強く祈った。ミネア界の神様!どうかニノをお助けください!
すると祈りが通じたのか、ダーククロイツの胸の闇黒石のあるあたりが5色に分かれて一瞬強く光ったのが見えた。
そしてたくさんあった腕が消え、ダーククロイツが残った両腕でうめいて苦しそうに胸を押さえた。手が消えた瞬間、ニノはテレポーテーションでジュンのところに戻ってきた!
「ニノ!無事で良かった!」
「ごめんね。心配かけて。」
ジュンはダーククロイツをにらみつけた。
ダメだ!3体のロボットはダーククロイツに比べて小さすぎる!もっと威力のあるロボットでなければ対抗できない!そう思った瞬間、ジュンは閃いた。そして再びツクロボの構えをして叫んだ。
「コンバイン!」
すると手のひらから出た光が稲妻のように走り、3体を順に貫いた。そして中心に強烈な光が発生したかと思うと、そこに3体が合体したロボットが現れたのだ。
稲妻のような黄色いラインの入った白銀のボディにはライオンの顔の肩当てがつき、右手には大きな聖貴剣が輝き、左手には銃口の太い白銀のグレネードランチャーを持っていた。
「行け!セントシリウス!」
セントシリウスはグレネードランチャーをダーククロイツの胸に目がけて撃った。ダーククロイツは一瞬ダメージを受けた様子を見せたが、腹のドラゴンの口から黒い炎を吐き散らし、おどすような唸り声をあげた。そして再び復活させたくさんの腕を伸ばしてセントシリウスを拘束しようとしてきた。セントシリウスは後ろに下がって聖貴剣で全ての腕を切り払った。
ダーククロイツは恐ろしい顔で歯軋りをすると、何かを思いついたのか目がギラリと光った。すると闇黒石のあるダーククロイツの胸の中心がまた紫に光り始め、胸の中心から渦巻きが発生し再び周りのものを吸い込もうとし始めた。
「ジュン、みんなを吸い込む気だよ!」
ニノが叫んだ。
吸い込む力はどんどん強くなり、ジュンも引き込まれそうなほどになった。
「そうはさせない!セントシリウス!ホーリースラッシュだ!!」
セントシリウスはジャンプすると渦に吸い込まれる力を利用して聖貴剣を振り上げダーククロイツの胸に斬りかかった。剣からまばゆい聖なる光が発せられダーククロイツの胸を切り裂いた。
目が潰れそうなまぶしい閃光が止むとジュンはおそるおそる目を開けた。モンスターの姿は消え、床には5つに分離した大宝鉱石がはまったままの金属板が落ちていた。その周りにダーククロイツやドラゴン達が気を失って倒れており、祭壇や実験道具、がれきなど吸い込まれたもの達が床に散乱していた。
「やっと倒せた・・・。」
ジュンは放心状態でつぶやいた。
「ジュン、頑張ったね!」
ニノはジュンの手をとった。二人はお互いの無事を喜んだ。
ジュンが大宝鉱石がはまった金属板を確保しているうちに、ニノがダーククロイツのそばに飛んで行った。
「うん、死んでないよ!気を失ってるみたい。ドラゴン達も。」
「今手錠は持ってないから、これで厳重に縛ろう。」
ジュンは落ちていた長いコードを拾い上げながら言った。
ニノとジュンは、ダーククロイツをコードで縛り上げると、北の刑務所に転送した。
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