幼馴染の肩書きなんかいらねぇよ!
水天使かくと
幼馴染の肩書きなんかいらねぇよ!
俺とあいつは小さいころからの幼馴染…。
俺は幼馴染の前ではいいやつを気取っている…。
相談されれば真剣に向き合うし、頼まれたことはできるだけ叶えてやりたい…。
だけど本当は…
この長い片想いを終わらせたいとどこかで思っている…
「おつかれ!」
といって俺の背中を思いっきり押してくるこいつが幼馴染…。
「痛えな!何すんだよ!」
いつもこんな感じだ…
無邪気で誰にでも愛想よく男女関係なくつきあえる…そういうやつ…。
俺はこいつとは正反対の性格だ…。
だから余計に戸惑うしどう切り返したらいいかいつも考える…。
「ねぇねぇ!このあと何か用事ある?なければ一緒に映画いかない?みたいやつあるんだぁ…。」
「お前彼氏は?映画は彼氏といくもんだろ?」
「あー…彼氏はちょっと用事で…。」
「じゃあ友達は?いつもつるんでるやつらはどうした?」
「あー…それもみんな用事で…。」
幼馴染は苦笑いをしている。
なんなんだよ…もう…。
「それで俺が最後の頼みの綱ってやつ?
まっいいけどな…。」
「やった!じゃあいこいこ!」
とくったくのない笑顔で俺の腕をぐいぐいひっぱっていく!
お前はいつも俺を都合のいい時だけ使うのな!
俺とあいつが映画か…。
いつかそうなれたらって考えてたことが現実になる… 。
お前はただの幼馴染として見ているだけだけどな…
映画がおわり俺たちは映画館を後にする。
「面白かったな! この後どうする?」
「私に任せて!どうせわかんないでしょ?」
となんだか1人楽しそうだ。
「なんか慣れてんなぁ…こういうの…。」
お前は彼氏といつもこんなふうにしているんだな …
俺の頭の中はいつもお前のことでいっぱいだってのに…
俺はあちこち連れ回された!
普通のカップルが普通にすることを…
ただ…俺にはむなしかったが…。
「おい!映画に食事にショッピングって…
これ…完全にデートじゃねえか!全部彼氏とすることだろう …。」
幼馴染がちょっと戸惑った顔で…
「そ、そうかな?たまにはいいんじゃない?こんなのも!」
「俺じゃ役不足なんじゃないか?」
彼女の歩いていた足が止まる …。
「なんだよ…急に立ち止まって…。」
幼馴染は真剣な顔で下を向いている。
「ほんと…わかんないんだね…私がどれほど…あんたのことを…。」
「お前…なに…いって…。」
俺は耳を疑った…。
こいつが俺を?うそだろ?
「私…ずっとこうやってあんたとデートができたらいいなって…思ってた…でもあんたはいつも…いつも…本気にしてくれなかった…。」
「ちょちょちょっと…まて…。でもお前…彼氏いるっつったろ?」
「あんなの全部うそ!あんたにやきもち焼いてほしくてついた…悲しい…うそ…。」
幼馴染は今にも泣きそう顔をしていた…。
じゃあ…今まで彼氏がいたことなんてなかったのかよ…そっか…良かった…。
「なんだよ…それ…。」
「彼氏ができたって…うそついちゃってからは…あんた…ますます私から遠ざかって行くようで…ほんと寂しかった…自分が悪いのにね…。」
「それよりそうだったら…なんで早く俺に言わないんだよ?じゃあ、こんなややこしいことにはならなかっただろ?」
幼馴染はさらに真剣な眼差しで…
「今のこの関係が壊れるのが怖かったの…
もし告白して…だめだったら…たぶん私…今までみたいにはできなさそうだから…。」
「はぁ…なんだよ…じゃあ俺の長年の我慢はなんだったんだよ…まったく…。」
「えっ?」
「えっ?て…なんだよ…俺だって…ずっと抑えてたんだからな!俺はお前がすることをいつも応援したかった…。でも男となれば別だ…自分を抑えて応援するふりをしながらいつも嫉妬してた…。」
「それって…。」
「そうだよ!俺もお前が好きなんだよ!たぶん…お前よりも前からな!だから…勇気だしてくれて…ありがとな…。」
我慢してた幼馴染が泣き出した…。
「泣くなって…おい…。」
「だって…だって…あんたがそんなことゆうからー!」
「あーもう!しゃーねぇーなぁ…。」
俺は幼馴染をだきよせ…深くキスをした…
「涙…とまったな…。」
幼馴染は驚きまだ固まっている。
「俺の好きは…お前の好きとは比べもんになんねぇんだよ!ずっとお前をみてた…お前だけを…だからそろそろ…俺のものになってください…。」
幼馴染がそっとうなずき俺の胸に顔をうずめる。
「そっか…ありがとな!
じゃあ…また…デートのやり直しだな !」
「えっ!」
「これからは彼女としてのお前を…
ずっと…みていたいから…」
俺は彼女になったこいつを愛しくみつめていた…いつまでも…
幼馴染の肩書きなんかいらねぇよ! 水天使かくと @sabosuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます