「何が出るんだ」

「早く、早く来てくれ！」

「鍵の開いたドアを押し開ける――なんと、そこに妖怪がいた！」

　黄色い着物姿の落語家が不気味な笑みを浮かべ、「なにか――」

　彼が続きをいう前に、

「用かい！」と観客たちがまた先に答えた。

　茫然とするしかない落語家。

　どよめく会場。

　ヤンヤの喝采。

　失笑。

　司会者は呆れ顔でいった。「Ｙ田君、Ｋ久蔵さんに座布団一枚差しあげて」

「はい、かしこまりました」

　Ｋ久蔵はガッツポーズをした。

「なんだよ、ワンパターンじゃねえか！」

　紫色の着物を着た落語家が毒づいた。

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