Y田君

「何が出るんだ」

「早く、早く来てくれ!」

「鍵の開いたドアを押し開ける――なんと、そこに子作り妖怪Y田君がいた!」

 オレンジ色の着物姿の落語家がはつらつとした声で叫んだ。「もう辞めろォ!」

 にんまりする落語家。

 とつぜんY田君があらわれて、

「なんてこというんだ!」背後からK平をどつく。「こっちは生活かかってんだ!!」

 座布団から転落して倒れる落語家。

 司会者がいう前に、Y田君はK平の座布団を全部持っていった。

 どよめく会場。

 ヤンヤの喝采。

 大爆笑。

 司会者がいった。「そりゃY田君怒りますよ」

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