「何が出るんだ」

「早く、早く来てくれ！」

「鍵の開いたドアを押し開ける――なんと、そこに鞍馬天狗がいた！」

　ピンク色の着物姿の落語家が、左半身の姿勢で身を乗りだし、「恐れ多くも、武術を教わったわたしは、そののち――天狗になりました」

　ドヤ顔する落語家。

　しんとする会場。

　通の客がうなる。

　くすっと笑い声。

「なるほど、そうきましたか」司会者はいった。「Ｙ田君、Ｋ楽さんに座布団一枚差しあげて！」

「はい、かしこまりました」

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