ヒストリー14 つづき⑤

邸宅内 廊下


《グレース視点》


客間の扉の前にベラが立っている。


客間の中の、アイリとブラグが話している会話を

聞いているようだ。


?『ベラ。』


ベラに話しかける声。

グレースだ。


グレース『盗み聞き?趣味悪いわよ。』


ベラがグレースの所へ歩いていく。


ベラ『・・何の用?』


グレース『あなたに話しがある。

こっちへ来て。』


ベラ『・・・』


グレースとベラは廊下を歩き、使用人専用の

部屋へと入った。


【ガチャ】


グレースは部屋へ入るなり、鍵をかけた。


ベラ『鍵なんかかけて、私を殺す気?』


ベラは腕を組み、グレースを睨みつけた。


グレース『ベラ、あなた、旦那様といったい

どうゆう関係なの?』


ベラ『あなたには関係ない事よ。』


ベラの口元は嗤(わら)っている。


グレース『私、知ってるのよ。あなたが夜中

旦那様の部屋に出入りしてるのを。』


ベラ『だから何?私達使用人は、ご主人様の

お世話をするのが仕事。

旦那様に呼ばれて、身のお世話をしてるだけよ。』


グレース『ほんとにそれだけ?』


ベラ『なんなの?それ以外になにがあるって

いうのよ。ちょっと旦那様が相手にして

くれないからって、嫉妬しないでくれない?』


グレース『・・私見たの。あなたが昼間の

庭の広場で、旦那様と抱き合ってキス

してるところを。』


ベラ『・・』


グレース『しかも、奥様とレオ様がいる

古屋の近くで、、』


ベラ『あー・・ふぅ、、

嘘つくのってしんどいわね。』


ベラが、開き直ったかのように

話し始め、組んでた腕を解いた。


ベラ『そうよ。グレースの言う通り

私と旦那様は、関係を持っているわ。』


グレース『!?』


ベラ『何驚いてるの?知ってたんなら

驚く事ないじゃない。』


グレース『あなた、、自分が何をしたか

わかっているの!?』


グレースが声を荒げた。


ベラ『あー、うるさいなぁ。旦那様も

私を受け入れたんだから、

何も問題ないじゃないの。』


グレース『あなたが旦那様の心の隙をついて

誘惑したんでしょ!』


ベラ『その誘惑に乗ったのも旦那様。

今の私を愛してくれてるのも旦那様。

それが事実よ。』


グレース『あなた、、、』


ベラ『それにしても、庭の前で抱き合った時

奥様と目が合ったのは、快感だったわ。』


グレース『?奥様と目が合う?』


ベラ『旦那様が私を抱きしめてくれた時、

私も旦那様を抱きしめた。その時に

噴水があるところから、

奥様が歩いてきたのよ。

奥様はその光景を見て固まっていたわ。

旦那様は奥様に背中を見せていたから

気づいてなかったけど、私はずっと

奥様を見ていた。』


グレース(じゃあ、あの時、あの光景を

奥様も見ていたって事?だから奥様も、

旦那様とベラの関係を知っていた。)


ベラ『あの時を思い出すだけで、

今も背中がゾクゾクするの。

いつか〝あの女〟をどん底に突き落とすって

決めてたから。』


グレース『・・最低、最悪、、

ベラ、自分で何を言っているか、、』


ベラ『わかってるわよ。』


ベラが嗤(わら)いながら、グレースを見た。


つづく。

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