ヒストリー14 つづき④
邸宅内 客間。
《ブラグ視点》
【コンコン】
ベラ『旦那様、奥様が到着されました。』
ブラグ『あぁ、入れ。』
ベラ『失礼します。』
【ガヂャ】
扉が開いた。
ベラの後ろには、穏やか表情をした
アイリが立っていた。
アイリが部屋に入り、ベラが頭を下げて
部屋を出て扉を閉めた。
【バタン】
部屋の中に微妙な空気が流れる。
ブラグ『そこに座ってくれ。』
アイリ『はい。』
アイリは用意された椅子に座った。
ブラグ『この客間も、変わっただろう?』
アイリ『そうですね。カーテンや絨毯
(じゅうたん)。
家具まで私が知ってる物はなくなってる。
でも私が実家から持ってきたキャビネットは、
まだそのままにしてくれているのですね。』
そこには、この客間には似つかわしくない
ボロボロのキャビネットが置いてあった。
ブラグ『あぁ、なかなか使い勝手がいいからな。
気に入っている。』
アイリ『10年前くらいにも、同じ事を
言っていました。』
ブラグ『そうだったか。』
2人が、こうして対面するのは
9年ぶりくらいになる。
だから、どうしても微妙な空気は
生まれてしまう。
沈黙。
つづく。
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