ヒストリー11 つづき

サルト『え?』


【ドサッ】


すると、サルトは気を失い

その場で倒れ込んだ。

イルビーはそのままサルトを抱えて

部屋を出て行った。


痩せた男『・・』


太った男『・・・』


痩せた男(あ、あれがイルビーの

〝力感シリーズ〟の〝囁〔ささや〕き〟か。)


太った男(こここ、怖ぇーよー早く帰りたいー)


モンテ『さて、続きだ。メリル姫が無理

だったてのは1億歩譲ってやる。

だが、よりによって九王国最弱の王家、

ドットチャイム家のガキとはなぁ。』


痩せた男『で、でもよ旦那、最弱って

言っても、王家の血筋だ。

人質にして身代金要求すれば

とんでもない金が手に入るじゃねーか。』


モンテ『金?』


モンテが、痩せた男を睨みつけた。


ふたりは、その睨みに固まってしまう。


モンテ『くっくっく、確かに金も大事だよなぁ。

だがな、金なんてもんは二の次なんだよ。』


異様な空気の中に、アルコールの匂いも漂う。


『俺の目的は〝ニューナイン〟

になることだからな。』


痩せた男:太った男『ニュ、ニューナイン⁉︎』


モンテ『そうだ。〝九王国〟は朝廷が

特別に保護している王家。

その朝廷に反乱を起こす為に組織化された

〝カラー〟。その〝カラー〟を〝九王国〟は

嫌い、敵視しているが、その裏では、各々の

王家を守る為に、名の売れた〝カラー〟を

独自に雇っている。

いわゆる〝黒塗りの契約〟だ。

それくらい知ってるだろ?』


ふたりは頷いた。


モンテ『〝ニューナイン〟になりさえすれば

金も名誉も手に入る。その為には、メリル姫が

必要だったんだよ。

影響力も強さもある〝ディッチ家〟の

〝ニューナイン〟になる為にはな!』


【ドカッッ】【パリンッ】


モンテがテーブルを蹴り飛ばした。

その勢いで、テーブルに置いてあった

酒やコップ、皿も床に散らばり割れた。


痩せた男(む、無茶だ!〝ニューナイン〟に

なるなんて、、、

しかもメリルを攫〔さら〕った

ところで、なんで〝ディッチ家〟が

〝チョウキ〟を雇うんだよ。

それに、〝ディッチ家〟が雇っている

今の〝カラー〟は・・)


モンテ『・・おい、

〝ディッチ家〟が今雇っている

〝カラー〟はどこだ?』


痩せた男『・・確か、チーム〝BOG〟』


モンテ『そうだ、、〝BOG〟だよ、、

通称〝ボグ〟あのうっとおしい、

〝ランドスター〟率いる〝BOG〟。』


モンテが、歯を食いしばり、拳を握っている。


太った男『あわわわわ、、』


太った男はあまりの恐怖に

腰が砕け、座りこんでしまっている。


モンテ『メリル姫がいりゃあ、人質として

利用して、〝ランドスター〟なんか

ぶっ殺してやんのによ。

〝BOG〟さえ潰せば、〝ディッチ家〟は

俺を認めるしかねぇ。』


痩せた男(そ、そんな単純な事で

〝BOG〟を潰せるわけねーだろ!)


モンテ『・・おい、お前ら。』


また、モンテがふたりを睨みつける。


モンテ『お前らに2回目のチャンスをやる。

もう一度メリル姫を、攫〔さら〕って

ここに連れて来い。』


痩せた男『そんな・・』


モンテ『質問は受け付けねぇ。

2択だ。メリル姫をここに連れて来るか、

ここで、俺に殺されるか、だ。

なぁに、目的を達成できたら

約束通り1000万ブルク払ってやる。』


太った男(む、むちゃくちゃだ。)


痩せた男(モンテは、とても冷酷な男だ。

もし、この話しを断れば確実に殺される、、。

だいたい、メリルには、女剣士〝ベルヴィル〟

がいるんだぞ。どうやって攫〔さら〕えば

いいんだ!、、とりあえず、この場の話しは

受けてどこかで逃げるしかねぇ。)


痩せた男『わかった。必ず、メリルを

ここに連れて来る。』


モンテ『物分かりがいいじゃねーか。

・・逃げるなんて考えんじゃねーぞ。

もし逃げた場合は、地獄の果てまで

追いかけて、時間をかけて殺してやる。』


痩せた男『に、逃げるなんてするわけねーよ。』


痩せた男(こいつなら、必ずどこまでも

追いかけて殺しに来る、、、。

俺たちに逃げ場はないのかよ。)


モンテ『よし、じゃあ行ってこい。

とりあえず〝ドットチャイム家〟のガキは

俺が預かる。』


痩せた男『え?』


モンテ『・・まさか、文句はねーよなぁ?』


痩せた男『あぁ。』


モンテ『期限は1カ月半だ。それを過ぎれば、

逃亡したとみなして、捜索を始める。』


太った男『1カ月半・・』


モンテ『ほら!早く行けよ!

俺は気が短いんだ。』


モンテは腰に穿いた、短刀に手をかけた。


ふたりは大慌てで部屋から出て行った。


つづく。

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