ヒストリー11 〜チーム、チョウキのリーダー、モンテ登場!〜
東エリア アンジュー地方 8番地区 アラン
《2人の男視点》
〝アラン〟とはアンジュー地方の西に
位置している地区である。
アンジュー中央部から、アランの街までは
馬を使って一日程かかる。
太った男『兄貴、もうすぐチーム
〝チョウキ〟の〝ホーム〟だ。』
〝ホーム〟とは〝カラー〟であるチームが
持っている住処〔すみか〕である。
有名な〝カラー〟になれば、なるほど
〝ホーム〟も大きくなるのだ。
痩せた男『やっとか。
休憩もそこそこに寝ずに駆けて来たから
馬も潰れかかってやがる。』
太った男『しかし、コイツは全く起きないな。
飯も食ってないし、水すらも飲んでないのに。』
太った男の馬の上には、袋に入れられた
サルトが乗せられている。
痩せた男『おいおい、まさか死んでねーよな?』
太った男が、サルトの胸に耳をあてる。
太った男『・・・、大丈夫だ。息はしてる。』
痩せた男『これで死なれてでもしたら、
〝モンテ〟に顔見せできねーぞ。
死ぬ前に、早く〝モンテ〟に引き渡そう。』
〝チョウキ〟のホームに着いたふたりは
門の前に立っている〝チョウキ〟のメンバーに
事情を話して、ホームの中に通された。
メンバー『モンテ様!例のふたりが
戻りました!』
モンテ『おー、通せ。』
ドアの向こうから、〝モンテ〟の低い声が
聞こえる。
【ガヂャ ギー】
そこには、大きな男が椅子に座っていた。
目はつり上がっていて、面長の顔が特徴的だ。
昼間なのに、テーブルの上には、
酒が広がっている。
痩せた男『モンテの旦那、依頼された
九王国の血筋の人間を攫〔さら〕ってきたぜ。』
太った男『・・ゴクっ』
太った男は緊張のあまり、生唾を飲んだ。
モンテ『遅かったなぁ。一カ月くらいか。』
痩せた男『し、仕方なかったんだよ。
王家の人間は、護衛がついてるから
なかなか攫〔さら〕うタイミングがなかった。』
モンテ『まぁ、攫〔さら〕ってきたんなら、
どーでもいい。その袋の中か?』
痩せた男『あぁ。』
モンテ『イルビー。』
モンテは横にいた、男に声をかけた。
男は頷き、痩せた男の前に立った。
イルビー『袋を渡せ。』
痩せた男『ちゃんと、報酬はくれるんだろうな?』
モンテ『当たり前だ。俺は約束を守る。』
痩せた男は、太った男の肩に乗せていた
サルトが入っている袋をイルビーに渡した。
サルト『・・んっ』
イルビー『⁇』
モンテ『おい、この袋の中身のガキは
メリル姫なんだろーな?』
痩せた男『うっ、それは・・』
太った男『ひっ』
モンテ『イルビー、袋からガキを出せ。』
イルビー『はい。』
イルビーが袋を床に置き、口を縛っていた
紐を解いて、サルトを引き出した。
サルト『う、うわっ』
一瞬、周りが鎮まりかえる。
サルト『な、なに⁉︎ここどこ⁉︎』
サルトは何が起きたかもわからずに
周りをキョロキョロしている。
モンテ『どうゆう事だ?メリル姫じゃ
ねーじゃねーか。』
痩せた男『メ、メリルは、護衛もついていて
隙もなかったから攫〔さら〕う事が 出来なかったんだよ。だから、〝ドットチャイム〟家の
ガキを攫〔さら〕うしかなかった。』
太った男『メ、メ、メリル姫には
女剣士〝ベルヴィル〟がいるから
ち、近づけないし。』
ふたりは必死に弁明する。
モンテ『あぁん?俺はメリル姫を
連れて来いと言ったんだせ?
〝ベルヴィル〟なんか斬って、メリル姫を
攫かさらってきたらよかったろうが。違うか?』
太った男『そ、そんな無茶な・・』
サルト『え?え?メリル姫?どうゆう事⁉︎
おじさん達は誰なの⁉︎』
サルトがパニックになりながら叫ぶ。
モンテ『イルビー、そのガキを黙らせろ。』
イルビー『はい。』
イルビーがサルトの前に立ち、
サルトの耳元で、何かを囁いた。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます