第20話 背中に刺さる2つの凶器
「属神、簡単に言ってしまえば神の部下の様なものです。基本的に人間をスカウトして、契りを結びます。神と人間の双方の同意によって属神となるわけです」
私にもいるんですよ?と言いながら転移神が近くにメイドに声をかけると、メイドがやって来る。
獣人らしく、猫耳が生えている美人だ。美しく長い藍色の髪が、白と黒が混じったメイド服にマッチしているように感じる。
「初めまして、転移神様の属神という立場を頂いております。ルジーナと申します」
「あ、ソラです。スキル創造神の代役をやらせて貰ってます」
と頭を下げる。
「ルジーナ、あなたの特技を教えてあげなさい」
「はい、転移神様。私の特技は……」
と言った瞬間にレジーナが姿を消す。直後に、ソラの後ろに立っていた。
「ちょっ……」
首元にはナイフが、チラつかされている。全く姿を捉えることができなかった。
「暗殺です!」
元気よく言われても怖いだけだ。ソラとの身長差が少しあるため、身体を密着してきている。
たわわな胸が当たっているのだ。
「見事なものをお持ちで……」
動かないようにソラが言う。ほんと見事なマウンテン……
「お褒めに預かり光栄です」
ソラが褒めたのは、暗殺術だと思ってお礼を言ってくるが、ソラは背中の感触を当分忘れることはないだろう。
「今、ソラ君に接近した方法は〈転移〉です。短距離ではありますが、属神は、従う神の力の一部を使うことが出来ます」
通りで目で捉えることが出来なかったわけだ。転移しなくても見えなかったかもしれないが……
それにしても属神というのは、予想よりもとんでもないものだと思う。あそこで剣神を呼んでなかったら確実にボコボコにされていただろう。
「ありがとう、レジーナ」
「はい、ソラ様。失礼しました」
レジーナは、頭を下げてソラから一歩下がる。残念だが、良いものを感じさせて貰ったな……とソラは感謝の意を持つ。フィニーに耳を摘まれた。痛い。
「それで、俺って誰かをスカウトしないといけない感じですか?話しかけてもついて来てくれる気がしないんですけど」
自分が勧誘される側なら、確実に断りそう。自分、立場はあれど人間だし。
「そんなソラ君に朗報です!今なら、レジーナの娘さんをご紹介出来ますよ」
テレビショッピングか!と言いたくなるが、黙っておこう。というか、レジーナさん結婚してたようだ。旦那さん羨ましいなと思ったり思わなかったり……
「良いんですか?レジーナさん。俺みたいな神様でもない奴に」
「ええ、良いんですよ。先程、転移神様から貴方のことは聞きました。こちらに来て早速、成果を出して頑張ってるとか。そんな人になら娘をお願いできます」
これはいい流れだ。
「早速会いに行くとしましょう」
転移神に言われて移動することになる。
「私は、ソラ君を鍛える準備でもしておこうか。また後で声を掛けさせてもらうね」
と言い剣神様は去っていった。
「助けてくださりありがとうございました」
とソラは見送るのだった。
「そういえば、レジーナさんの娘さんはどんな方なんですか?」
これは気になる。レジーナさんに似ている人なんだろうなと予想する。
「ええ、周囲にはよく私に似ていると言われています。でもなんというか気難しい時期ですので、失礼があるかもしれません」
心配だと頭を押さえる様にレジーナが言っている。お年頃と言った所だろうか。ソラも両親とは時々喧嘩があったものだ。まあ時間が解決するものだろう。
神々の城から街に降りて、街中の一軒家の前にたどり着く。
「部屋にいると思うので、入りましょう」
とレジーナが言うのに、ソラは楽しみだと思うのだった。
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