第17話 ソラへの神罰

「さて、早速じゃがお主への罰を言い渡すのだじゃ!心して聞くが良い」


腕を組んだ幼女、最高神が言う。


ゴクリと自らが唾を呑み込んだのが感じられた。まさしく神罰が下されようとしている状況だ。ドキドキと心臓の動きが速くなるのを感じつつ、最高神の口が開かれ……



「当分、お主は妾のことをお姉ちゃんと呼ぶのじゃ!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」


ソラの声が大きく部屋に響き渡った。




最高神から提示されたソラへの罰、それは当分の間最高神のことをお姉ちゃんと呼ぶことだった。もっとこう、謹慎とかあるんじゃないのかな?と思う。


「良かったじゃない!最高神様は、神格者だからね。大丈夫ってわかってたわ」


フィニーがドンドンと肩を叩いてくる。だが、神格者というのは疑いようがある。お姉ちゃんと呼べというのは何を考えているのか。


「うむ、これで万事解決じゃ!ソラには罰を出したし、妾はお姉ちゃんと呼んでもらえる。完璧であろう!」


「いやいや完璧じゃないから!なんですか、お姉ちゃん呼びって」


「そう呼ばせたいからじゃ!」


最高神の権力の濫用じゃねーか!後ろでは転移神がニヤニヤ笑っている。性格悪い神だと思わずにいられない。



「まあ、良かったじゃないですか。こんな方ですが、我々のトップですし」


転移神が言ってくるが、あなたもこんなとか言ってるじゃないですか。神界は大丈夫なんだろうか?と思わずにいられないソラだった。





最高神は、一度お姉ちゃんと呼んでみると、ウヒョォーーーー!と声を上げて部屋から去っていった。ソラは、そんな最高神を特に何の感情も宿っていない瞳で見るのだった。



「そういえば、〈無敵〉の量産については、良く誤魔化せましたね。真偽判定神様にバレると思いましたけど」


あの瞬間は焦ったものだ。量産出来ることがバレれば厄介なことになるのは確定だろう。


「ええ、真偽判定神には、すでに根回し済みでしたので。嘘とわかっても本当のことを言っていると答えるようにしてありました」


「あ、そんな手がありましたか」


「ええ、最高神様にも許可は貰っています。流石にあれほどのスキルを好きに作りまくれると思われるのはソラ君の身が危ないですからね」


自分のことを気にかけてくれたようだ。何気に最高神も色々と考えているんだなと思った。


「ありがたいです。最高神様に会ったらお礼を言わないと」


「それが良い。感謝することは大事だぞ、ソラ君!真偽判定神もその内、お礼を頂きに参りますと言っていたしな!」


と剣神が頷いている。


ん?後半が不穏だな……と思う。お礼を頂きに来るってなんだろうかと思うソラだった。





「とりあえず、無事に報告会を乗り切れたことおめでとうございます!あ、これは今回のスキル作成の報酬です」


と大きめの袋を渡された。中には金貨だろう。お金が大量に詰まっていた。


「おお!」


「やったわ!ご飯食べ放題よ」


フィニーが喜んでいるが、これは自分が稼いだものであってお前に奢るつもりはない。


だが、フィニーに最強という案を出したので、〈無敵〉が出来たのは自分のお陰だと言われて奢ることになるのだった。





次の報告会は、1ヶ月後になるため当分はのんびりと過ごすことは出来るだろう。まあその内何かアイディアが浮かぶだろうと思いまだ次のスキルなど考えてすらない。


「何して過ごそうか。俺としてはやっぱりのんびりと過ごしたい所だけど」


「私にも何かスキル作ってよ!剣神様にもあげてたじゃない」


とフィニーが催促してくる。


ソラは、壇上での実験に剣神が手伝ってくれたことのお礼に〈無敵〉スキルを作って渡したのだ。流石の剣神も驚いてた。


だが、喜んでくれたみたいで困ったことがあればいつでも呼んでくれと言われた。


取り出したソラのスマホには剣神の連絡先がある。この神界にもスマホがあるのだ。ソラの元の世界の物を神界仕様にしてくれている。


剣神様が味方というのは心強い。




「それで何が欲しいんだ?」


「うん、巨大化とかない?」


フィニーは大きくなりたいようだ。妖精のフィニーは、ソラの手のひらに座れるほどのサイズだ。


「なるほど、お前チビだもんな」


と答えたソラにフィニーの拳が突き刺さるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る