第16話 報告会終了
「あわわわわわわわわ」
肩では、白目を剥いてフィニーが声を上げている。当然ながらソラとしても声を上げたいものだ。人生でここまで5秒という時間が長く感じられたのは初めてだ。
引き伸ばされた感覚では何秒経ったのかわからない。気持ちを強く持って耐えるしか無いのだろう。
「大砲でもぶっ放してるみたいな音……」
カンカンカンっと音がするもんだと思っていたが、どう聞いても砲撃音だ。本当に剣を振っているのか疑わしく感じるが、相手は剣神だ。常識など通じない相手だろう。
程なくして、剣神の攻撃が止み、そしてソラ達を覆っていた光が砕けて消え去る。5秒の経過だ。
「ホォー、やるね!ソラ君」
と言い《神威解放》とやらを解いたらしい剣神様が言葉をかけてくる。
「死ぬかと思った……」
出来れば今度からは誰か別の人を実験台にしたいもんだと思う。フィニーなど、白目を剥いて気絶している。さすがにかわいそうになったので胸ポケットに優しく閉まっておく。
「真偽判定神、剣神の攻撃は、ソラ・サイガを死に至らしめるものであったか?」
「はい、当たれば粉々になって即死でしょうね」
伝令神と占い師のような格好で口元をベールで隠している神様が話をしている。真偽を見極めることが出来る神もいるようだ。というか当たれば即死って言いやがった。
「真偽判定神の言葉だ。ソラ・サイガの、作成したスキル〈無敵〉は確かな効果を発揮したと認める!」
最高神の言葉と共に拍手が送られる。死にそうになって大変だったが、とりあえず礼儀として頭を下げておこうと思う。
「と言った所で、〈無敵〉スキルの説明は終わりたいと思います」
とソラが言う。大して話すことがないため意外と楽だった。
「うむ、所で妾から質問したいのだが、良いだろうか?」
駄目ですとは言えないだろう。言えたらどれだけ良いことか。転移神の顔を見ると大丈夫と頷いている様だ。
「はい、お答えします」
と頷く。こういうの苦手なんだよなぁ……と心で言い訳する。
「妾が聞きたいことは、そのスキルを量産することは可能かの?出来るとすると、神界の常識が覆りかねん」
「量産ですか……」
多分、やろうと思えば出来るのかもしれない。だが、それがわかれば本当にスキル作成マシーンになるかもしれないのだ。それに真偽判定神もいる。嘘など容易く見破られることだろう。
どう答えるか言葉に迷っていると転移神が続ける。
「私からお答えしましょう。今回〈無敵〉のスキルを作成出来たのは偶然と言えます。それに、スキルを作成したソラ君の疲労はかなりのものでした。ですので、量産は出来ないものと存じ上げます」
普通に転移神が嘘をついた。大丈夫かよと思っていると
「ふむ、偶然でいきなりとんでもない物を作ったな。ならば仕方あるまい。真偽判定神」
「はい、嘘偽りはありません」
嘘なのに、真偽判定神は大丈夫だと言う。すると、周囲の神々が残念そうな反応をした。
「ということなのじゃ、もしもソラに無理矢理スキルを作らせようとするならば、妾の雷撃が落ちることになるのじゃ」
と最高神様が言ったため、部屋が静まり返る。これなら安心だろうとソラはホッとする。
「疲れたじゃろうから、ソラは帰って良いぞ。転移神、ソラを連れて行き休ませるのじゃ」
「はい、行きますよ。ソラ君」
と言われたため、あっさりと部屋を後にすることになった。
「だぁぁぁぁぁ、疲れたぁぁぁぁ!」
ソラに与えられたスキル創造神の部屋、ベッドに思いっきりダイブする。
「ほんと、疲れたわぁ〜」
とフィニーも飛び込んできた。
「お前は気絶してただろうが」
と言っていると、部屋に転移神が入ってくる。ノックとかしないのかよ……と思ったがまあいいか。
その後ろには、剣神、そして最高神が続く。さすがに寝たままは不味いと思うので、床に降りて正座する。
「そんなに畏まらんでも良いのじゃ、楽にせい」
「おお、了解」
気にしなくて良い様なので、堂々とベッドに横になりながら話を聞くことにする。これには最高神様も予想が出来ていなかった様だ。
「あらら……ソラ君」
「なかなかの心の持ち主なのじゃ」
逆に最高神は感心したようだ。まあこんなことする奴はいないだろう。
「それで、揃ってどうしたんです?」
「ああ、お主が壇上で熱神に文句を言ったじゃろ?だから、妾も少しばかりの罰をお主に与えなければならないのじゃ」
「文句?」
『チッ、なんで俺睨んでんだよ』
あ……やべっ、忘れてた。
ついポロッと口から出たもんだ。
「さすがに、熱神に責任のほぼがあるがの、他の神の意見でお主にも少しばかり罰を与えねば示しがつかんのじゃ」
「まじかよ」
熱神、あのやろー!今度あったらスキルの力でボコボコにしてやる。
と心に決めるのだった。
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