第14話 波乱の報告会開始

「あれが最高神」


「見たらわかるでしょ?最高神様だよ!」


フィニーに言われて、間違いないんだよな……と思いつつ、最高神(幼女)をソラは見る。明らかに、昼間にあったサーイちゃんだ。だが、その身に纏うオーラは紛れもなく神と感じさせるもの。驚きつつも口を出すのはやめようと思う。



「多くの神の出席感謝するのじゃ。さて、始めようかの!」


最高神(幼女)は、ゆっくりと宙に浮きながら歩みを進めて椅子に腰掛ける。それと同時に、礼を解いた神達も椅子に腰掛けるのだった。


ソラは、フィニーがタイミングを教えてくれたため無事に合わせて座ることができた。なんだか卒業式のような感覚だ。案外、ボーっとしてる奴がタイミングを外して恥をかくものだ。


「それでは、報告会を始めていこう。伝令神、進行せよ」


仮面を付けた神が最高神の横に控えている。髪の長さが長くも短くもない金髪で彼か、彼女かはわからないがあれは伝令神だろう。


「はい、最高神様。それでは始めさせて頂きます。まずは、転移神から報告を」


「はい」


隣に座る転移神が立ち上がり、部屋の中央にある机に向かう。どこからか取り出した資料を軽く手を振ると、部屋にいる全ての神に配布する。シワひとつない綺麗な紙がソラの元にもやってくる。文字が書いてあるが読めない。


「それでは、今月の転移者についてですが……」


と転移神が資料を用いて話を始める。転移者についても、詳しくスキルなどから報告を挙げていたため神様も忙しいんだなぁ……と思いながら耳を傾けておく。




興味を持っていないと、徐々に眠くなってくるものだ。どうにか欠伸を噛み締めながら耐えている。フィニーは、ソラの膝の上で静かに眠ってる。こいつはとにかく自由だな……と思っていると話が一区切りついたようだ。内容はほぼ聞いていないが、次の議題にでも移るのだろう。


「それでは、次に移ります。ソラ・サイガ、前に」


「はひっ!」


突然呼ばれたことで上擦った返事をしてしまう。転移神様がこちらに来る様にと合図しているので立ち上がって向かう。フィニーが膝で寝ているのを忘れて、地面に落としてしまう。


「いったぁぁぁぁ……」


と声が聞こえるが、気にする様な余裕はない。とりあえず、フィニーも拾い上げて壇上に向かう。名前を呼ばれた瞬間から周囲の神々の視線が痛いほど刺さっている。



「ソラ・サイガよ、よく来てれたのじゃ。昼間は、申し訳なかったの。お主の人柄を見たくての」


壇上に上がったソラに最高神が口を開く。やはり昼間に出会ったサーイちゃんと同一人物だ。


同一神物と言った方がいいのか?


「あ、歓迎の言葉ありがとうございます」


一応頭を下げておく、相手は見た目は子供でも最も力のある存在だ。


「改めてじゃな、皆に対しても自己紹介をしてもらおう。壇上には拡声のスキルが込められているのじゃ」


転移神が、どうぞと背中を押すので豪華な机の近くに立つ。


(正直、何を言えば良いんだろうか?)


と頭を捻る。シンプルに誠実な挨拶をするのが良いかという結論を出して、声を発する。


「初めまして、至高たる存在にあらせられる神の皆様。スキル創造神様の代わりとして、やって参りました。ソラ・サイガと申します。以後、よろしくお願いします!」


「おお、拍手なのじゃ!」


と最高神が手を叩く。なかなかに可愛い姿だ。それに合わせて周囲の神達も、手を叩いている。無難でよかったと思うのだった。



「最高神様!俺は反対です!やはり人間など」


と大きな声が上がる。ありゃりゃ、批判する神いんのかよと思いそちらを向くと、赤い髪の暑苦しそうな男が言っていた。


「熱神か。じゃがの、ソラは《スキルジーニアス》を手にした。そして、早速成果を出してくれたのじゃよ。それを見ずに批判するでない」


と最高神が言うと、俺の方を睨み座り直した。


「チッ、なんで俺を睨んでんだよ……」


と思わずソラは舌打ちして呟く。かなり小さく舌打ちしたつもりだったが、壇上は声が拡声されているのを忘れていた。心の声が漏れていた時の様な気分だ。


あっさりと舌打ちと声は拡散されてしまう。


「き、貴様!」


「あ、ヤベっ」


流石に怒った様で、熱神は熱気を迸らせながらこちらに向かってこようとしている。フィニーは、ソラの頭の上でアワワワ!となっている。


「ソラ君、一応私の後ろに」


と言いながら、転移神が前に出る。


キャッ転移神様素敵!腹黒だと思ってたけど、トキメキそうなどと、頭で考える。何気にソラも余裕を持っている。


「人間風情が、神に!」


「黙るのじゃな」


熱神が何かをしようとして、直後一瞬光った。ソラにわかったのは本当にただそれだけだった。気がつくと、ジューっと音を立てて熱神が倒れていた。


「全く……暑苦しいのじゃ」


と言いながら突き出している最高神の手にはビリビリと雷が纏っていた。




最高神様、パナイっすね……


ソラの声が部屋に響くのだった。

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