第4話 女神様は性格が悪いと思う
「ほぇ……空飛んでる」
剣神によって捕縛された天は、現在翼を出した剣神によって抱えられて天空の城に向かって移動していた。
「なんだ、空を飛んだこともないのか?スキルがない世界からの転移者なのか」
「そうですよ〜、スキルがあっても空を飛べる人自体少ないですし、珍しいことだとは思うけどね〜」
フィニーは、天の顔の近くを飛んでいる。天使も飛ぶことが出来るのだから便利だ。
本当であれば、歩いて街の方に向かう予定だったが、捕まってやる気を無くした天が地面に寝そべったまま動かないため抱えられて移動しているのだ。
「はぁ、奴隷生活のスタートかぁ」
「そんな野蛮じゃないぞ、少年?自由時間くらいくれるだろう。転移神ちゃんは、優しいからな」
本当かよ?と疑いたくなる。あれは結構腹が黒いと天は思っているのだ。
そんなこんなで、天空の城に戻ってきた。剣神に抱えられている格好悪い状態だ。
「あー、ソラ帰ってきたー!」
「剣神様に捕まってる〜」
「抱えられてるよー」
天使達が集まってきた。
「少年は、ソラと言うのか。良い名だ。所で、そろそろ降りる気になったか?」
「嫌です!」
ガシッと剣神の腰に捕まっておく。こうなれば、最後の抵抗だ。少しでも時間を引き伸ばす。
「戻ってきましたか。おかえりなさい、ソラ君」
転移担当の女神がやってきていた。さっきぶりだが、見た感じは優しそうだ。
「転移神ちゃーん、捕まえてきたよ〜。なんか離れてくれないんだけど?」
「あらら、懐かれたのかしら?そのまま一緒に邪神でも狩りに行ってきたら!」
「邪神!そんなんいるのか!すぐ離れる」
と言いながら剣神の腰から手を離すとそのまま床に落ちて顔をぶつける。
「あららお顔が残念なことに!いえ、最初と変わりませんね〜失礼しました」
この野郎!と思うが、口に出せないのが悔しい。神に早速いじられる。やはり腹黒だろうと思う。
「大丈夫?」
「フィニー、地味に優しいのな」
「いつも優しいわー!」
フィニーが何気に気遣ってくれたのは、嬉しかった。
「流石に、邪神狩りなんて行かんよ。邪神自体が早々いないんだから」
「それは良かった。少しはいそうな言い方で怖いけど……」
自分とは関わりがないことだろうから、気にしなくてもいいだろう。
「それではソラ君、さっきまでしてた話の続きをするとしましょうか!」
胸の前で両手を合わせて微笑みながら転移神が言ってくる。こうなりますよねーと思いながらも断るような力はない。
「ほらほら行くよー」
「行くから、耳を引っ張んな!」
フィニーに急かされて転移神についていく。
「さあ、座ってください。リラックスしてお話でもしましょう」
「失礼します」
天空の城の庭、豪華そうなガーデンテーブルが置かれている場所に案内される。周りを見渡すと、もちろん空だ。
「いい場所でしょ?」
「それには同意だ」
ここまでの高さに来たことはほとんどない。剣神は、他の天使達と遊んでいるようだ。
「改めて、ソラ君の情報を整理していきましょうか〜。あ、お菓子でも出しましょう!飲み物は何が良いです?オレンジジュースとかもありますよ」
「あ、じゃあオレンジで」
「あ、私も〜」
フィニーは、自分の肩の方に移動して座っている。てか、お前も飲むんかいと思う。
すぐさま、メイドさんがやってきて飲み物やお菓子を置いていく。
「メイドさんとかいるんだな……」
「神界と言っても人間も住んでいますよ。ここも1つの世界です。神だけで生きていけるわけではありませんからね〜」
上品に紅茶を飲みながら転移神が答える。人間がいると言われると嬉しさを感じる。神様だけのアウェーではないだけマシだ。
「ぷはぁ!やっぱり美味いわー!」
自分の肩では、とても小さなコップでジュースを飲むフィニーがいた。自分も飲んでみると、たしかに美味い物だ。
「まさか、ジュースとか飲めるとは思わなかったから嬉しいな」
「でしたら、仕事の報酬をオレンジジュースにしましょうか?」
「そこは金銭でお願いします」
生活費を稼がないと生きていけないだろうから、やはりお金が大事だ。
「ふふふ、分かってますよ。それでは、サイガ・ソラ君。ここではソラ・サイガになりますが、17歳、性別は男で間違いありませんね?」
「はい、間違いありません!」
と答える。なんか面談みたいになってきたけど、ストローでオレンジジュースを吸いながら答える。リラックスして良いって言ってたし。
「部活はなし、彼女いない歴=年齢。童貞と、相違ないですね?」
「ブフゥーーー」
飲み物を吹き出してしまう。転移神は、やはり性格が悪いなと思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます