第5話 いい地位を貰ったようだ
「ゴホッゴホッ……」
「ソラー、童貞ってなに?」
飲み物を引っ掛けて咳き込んでいるとフィニーが追撃を行ってくる。
「俺に聞くなぁ!」
「それで相違ないですか?」
転移神が確認を取ってくる。そんなの確認とかいらんやろと言いたい。
「あ、あの〜」
「相違ないですね?」
「あ、はい……」
渋々と答える。なにをやらされているのだろうか。もう良いや後で覚えてろ……と力無く心で呟く。
お菓子が美味しそうだから、気分変えてたべようとすると
「まあ、プロフィールは、趣味で聞いてるだけですけどねー」
パキンと手に持っているクッキーが砕けた。割れた半分をフィニーが地面に落ちる直前に慌ててキャッチした。
「もうイジメだ!そんなに人間を弄んで楽しいですかぁ!」
「お母様って仲良い人には、こうだから」
クッキーを持ちながらフィニーが浮上してくる。
「俺は仲良くないし」
「ふふっ、それでは真面目に仕事の話をするとしましょうか」
先程とは様子が変わった、一瞬で真面目モードに切り替えるとはこの神様出来るな、とソラは思う。
「脱走前にも言いましたが、あなたのスキル《スキルジーニアス》について話しましょう」
「ゴクリ……」
ここは真剣に聞かなければ厄介そうだなと思い、集中する。
ガリガリと一生懸命クッキーを食べているフィニーが目に入るのは迷惑だが……
「《スキルジーニアス》、スキル創造担当の神が最後に作ったスキルです。仕事が面倒になったので、誰かに代わりにやって欲しいかったのでしょうね」
「迷惑な……、その神、どこにいるかわからないですか?」
捕まえに行きたいものだ。
「残念ながら、どこかの異世界に紛れ込んだのだと思います。わかればすぐにでも捕まえに行きますが!」
神様達もわかっていない様だ。ならば、自分が見つけ出すのはほとんど無理だろう。
失踪する直前に転移者に与えられるスキルを保管しているという場所に、このスキルを放り込んだらしく。運悪くそのスキルを引いたのがソラらしい。
転移者や、転生者が神界にやってくるとスキルが与えられたり、与えられなかったりするシステムがあるがそこに仕込んでいるとスキル創造神が手紙を残していったらしい。
才能がある転移者にきっとスキルが渡る。その者に良くしてやってくれと書かれた手紙を見せられて、ソラは破きたくなった。
このスキルは1個だけなので
「それで、具体的に俺はどんな仕事をしたら良いんですか?」
「はい、ソラ君にやって欲しいのは新たなスキルの開発ですね。これまで誰も開発したことがない様なスキルを開発するために日夜頑張ってくださいね!」
話を聞く感じ、めんどそうだなと思わずにいられない。自分で新しいものを作るというのはなかなか難しいことだ。
「作れなかったらどうなりますか?」
死刑とかじゃないよな?と思わずにいられない。なんなら神罰とか食らったりして、
「そうですね〜、月に一度、神々の報告会があるのですが、最高神様から微妙な反応をされますね〜」
地味に嫌なの来たな……と顔をしかめる。嫌味とか言われそうと、ヨボヨボの爺さんのイメージの最高神に文句を言われる所を想像する。
「ですので、頑張ってくださいね〜。結果を出せれば良いこともありますので」
「不安しかないですね、スキルもまだ使ってないですから」
マジで面倒なことに巻き込まれた一般人だ。隙を見て自分も脱走したいものだ。
「まあまあ、衣食住などの保障はさせてもらいます。それに階級も高いのを与えることが出来るので!」
「お、その話詳しく知りたい」
生きていく上でかなり大事そうだ。良く耳を傾けておく。
「実は、神にも階級があるんですよ。1番上がさっき言った最高神様で、私は、上位神なんですよ。ドヤァ」
「はい、続けて。興味なし」
スルーが1番だ。転移神は、どこか残念そうな顔だ。
「むむぅ、ソラさんには上位神と中級神の間に当たる権利を与えたいと思っています」
「それって良いんですか?」
「そりゃあ好待遇ですよ。望んでも手に入るわけではないので」
逆に、これくらいの待遇の価値がスキルにあるということだろう。中級神とやらがどれほどかはわからないが、人間からしたら大出世なのだろう。
「もしかして、人間から神に種族が変わります?」
「あ、それはないですよぉ。あくまでも権利です!頑張りによっては神様になれるかもしれませんけど、ふふふ」
種族が変わったりはしないようだ。まあ特になりたいとかいう気持ちはないので、別に構わないかな〜とも思う。
ちなみに、最高神、上位神、中級神、下級神というような順番になっているらしい。最高神は1人しかいないとのことだ。
「では、仕事場に案内しましょうか〜。スキル創造神が使ってた場所そのままで申し訳ないですけど!」
「どんな感じの場所だろうか」
と興味深い様子でソラは立ち上がるのだった。
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