第2話 ロクでもないことになりそうだ

 クラスメイト達は、異世界に旅立ったことだろう。自分の周りには、女神と天使達しかいない。


「あいつらあっさりと行きやがって、所詮はクラスメイト……他人か」


 クラスメイトが居なくなったので、盛大に不満を漏らしておく。天使達は、天の周りを面白そうに回っている。


「いえいえ、流れに押されただけで本当はどうにかしたいと思ってる子もいましたよ?さすがに1人も心配してくれる子がいなかったら慰めようがありませんね」


「そうですかー、てか、なんで俺は居残りなんですか!もしかして、悪人が持ってる様なスキルでした?」


 どうとでもなれと言わんばかりに地面に大の字になって倒れ込む。周囲の天使がその姿を真似て近くに大の字になって横になっている。可愛い光景だ。


「皆さん勘違いしてるかもしれませんが、悪いスキルとは一言も言ってませんからね?」


「はぁ?逆に良すぎてもいけないんですか!なんなんだ、こんちくしょう!」


 両腕を地面に叩きつけてバタバタと暴れる。てか、天使達もまた真似している。馬鹿にしてるんじゃ無いだろうか?


「はい、それじゃあ発表します!あなたのスキルは〜」


 なんかクラスメイトが居た時の女神の雰囲気とかなり変わってるな……と思いながら見る。


「ジャーン!《スキルジーニアス》です!」


 と言われるが、どこが凄いのかと言うのがいまいちわからない。


「どこが凄いんですか?」


「私が説明してあげる!」


 と言いながら、自分の頭に着地してくる者が居た。最初に、スキルを鑑定した天使だ。


「おお、確かメニーだっけ?」


「フィニー!沢山じゃないから」


 ふんふんと鼻息荒く、頭を踏みつけてくるが、特に痛くはない。うっかり自分がボケた様な形になったが、英語とか通じたりするんだなと思った。


「こら、フィニー。そんなことをしたら後で酷い目に遭うかもしれませんよ」


「はい、お母様」


 女神に言われて頭を踏みつけるのはやめた様だ。というか、お母様ってのが気になる。


「親子?あんまし似てないね」


「お母様が作り出したってのが、正しいわね。ちなみに私が長女!1番上よ!」


 頭の上でドヤ顔をされる。となると、周囲にいる天使が妹達の様だ。


「そりゃあ、大家族だ。あっと、話がかなり逸れてる……」


「そうだったわね、《スキルジーニアスについて》説明するわ!簡単に言えば、色々なスキルを開発することが出来るものよ!」


 と頭の上から説明される。


「ざっくりとしてるなぁ〜。でもそれくらい大したことないんじゃない?」


「いえ、そんなことはありませんよ。そのスキルが秘めている可能性は、無限です。神ですら作れないスキルを作れる力もあると予想しています」


「神様にも限界とかあんの?」


「ええ、人に限界があるように神にも限界があります。それに、人に力を貸すのも楽じゃないんです」


 と疲れたような言い方をする。大変な経験があったのだろう。


「なんか、気に入った人にポイポイと力を渡すのかと思ってた……」


「やるわけないじゃないですか、そんな面倒な。こっちにメリットがあるわけじゃないですし〜」


 なんか悪い顔になっていた気がするが、気づかなかったことにしておこうと思う。神様も万能じゃないんだなと勉強になった。


「それに時々、めっちゃ力をせがんでくる人間もいるんだよ!見ててイライラするんだから!」


 とフィニーが言う。すでに自分の頭は定位置のようになっている。確かに、力を寄越せと言ってくるのはイラっとするかもしれない。



「それではスキルの話を続けましょう。《スキルジーニアス》は、神ですら持っていないとてつもないスキルを作ることが出来るのです」


「はぁ……、てか、スキルって神様が作ってるんじゃないですか?」


「まあ、出来ないことは無いですよ……、スキルを作る仕事の神様もいましたし」


 スキルを作る担当の神もいるとのことだ。であれば、自分に役目が回ってくることはないだろうと思う。


「なら、俺も異世界に送ってもらえたり……」


「出来ませんね!なぜなら、スキルを作る神がキツくて逃げ出しましたからね。あなたには、ぜひスキル作りを頑張って貰いたいんです!」


 両手を揃えて微笑んでくる女神を見ながら、ロクなことが待っていないだろうなと天は、思うのだった。

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