第11話本当に怖いのは……
これは私がニューハーフヘルスを利用した際に体験した心霊現象です。
このコロナ渦です。
ニューハーフヘルスはもう一年半程利用していません。
この出来事も二年前の事ですが思い出すと今でも恐ろしく、こうして語らずにはおれないのです。
その日のお相手は香さん(仮名)という名のニューハーフの女の子でした。
女の子じゃないじゃないか、とお笑いになる貴方。
いつの日か貴方も実感する事になります、この娘達は女の子だと。
通常こうしたお店にはニューハーフ嬢と女装子がおり、それぞれに利点があります。
その住み分けは曖昧な部分もあるのですが、大雑把にはホルモン治療や体の手術を行っていないのが女装子といった所でしょうか。
本人の性自認や将来設計も関わってくるのでしょうが、客である私には本当の所は分かりません。
話が逸れました。
香さんはギャルっぽい、キツめのメイクの女性でした。
私の趣味は清楚で可愛らしい女の子です。
外れだな、御愁傷様と思われた貴方。
それは違います。
これは私の私見に過ぎませんが女装子は清楚で可愛らしいファッション、ニューハーフは強めのファッションという傾向があるように感じます。
既に両者にそういった文化が出来上がっているのも大きいかと思います。
もう一つ言えば、それぞれ求める物の違いでしょうか。
女装子は可愛くありたい欲求に素直に、甘々ガーリィなファッションをする。
ニューハーフは現実的な女性に近付く事を求めるが故に己の骨格と合う、強めのファッションにシフトしていく。
ニューハーフ嬢の中には甘々ファッションを好む女性もきっといる事でしょう。
それでもギャルファッションを選ぶ切実な思い、私はそこに愛おしさを感じるのです。
話を戻します。
香さんは所謂、アリナシの女性でした。
手術で睾丸は取り除いている、しかし陰茎は残してある女の子の事です。
睾丸を取り除いたり、ホルモン治療、豊胸手術を受ける事でその体は女性に近付きます。
故に女性の体に男性器が付いている、このような倒錯的な魅力を堪能したいのであればニューハーフ嬢がオススメです。
人気ジャンルのフタナリに近い状態を、現実で味わえるといった感じでしょうか。
フタナリ愛好家の方の中には、全然違うとお怒りになる方もいらっしゃるかもしれません。
本物の女の子の体に付いてないと意味がないと。
しかし私は何度でも言います、彼女達は女の子だと。
例えば一緒にシャワーを浴びる段階、女装子に比べてニューハーフ嬢は股間を隠す割合が高いと感じます。
最終的には割り切って晒さないといけないのに……。
それでもギリギリまでは恥ずかしいと隠すのです。
……可愛らしくないですか?
彼女達は紛れもない女の子のなのです。
一方、女装子の強みはやはり男性機能でしょうか。
ホルモン治療、睾丸摘出を行っていない場合、その男性機能は保たれます。
アッチのアレに興味がある紳士は非常に多いと思いますが、私は女装子に便宜を図ってもらいました。
どうせいつか必ずその時はやってくる。
ならばこそ無機質なプラスチックや樹脂では味気ない。
特別な物で……と考えた末に行き着いたのが女装子でした。
このように何を求めてお店を利用するのか、自らを見つめ直し自らに問う事。
自分とは一体何であるか、内なる私に問いかける。
ニューハーフヘルスを利用するには自問自答する必要があります。
女装子かニューハーフか、身長体格、地毛かウィッグか、客対応、声、大きさ、プレイ内容等々。
自分の中で譲れるもの譲れないものを仕分けしなければなりません。
例えば私の場合、通い初めは低身長と高い声を重視していました。
高身長の女性、声の低い女性、それぞれに魅力的です。
しかしそれがニューハーフ嬢となると、当初の私はそこに男性的なものを感じてしまったのです。
高身長の素敵なニューハーフ嬢を前に、異性愛者である私は九十分の内一度しか楽しめなかった経験があります。
しかし人間は成長するものです。
徐々に私の中でそのこだわりは消えつつあります。
だからこそ初めだけは躓かないで欲しいというのが願いです。
一糸纏わぬ嬢を初めて目の当たりにした時の感動は、筆舌に尽くし難いものがあるのですから。
故に自らの目的を見出だした後は事前リサーチ、必須です。
地方に住んでいる方、地元で済ませようとはどうか思わないで。
地元も含めた日本全国津々浦々、全てを選択肢と捉えてください。
今はコロナ渦です。
越境ニューハーフヘルス旅は自粛すべきでしょう。
しかしこの闇が明けた時は光が、ニューハーフヘルス旅が待っている。
そう思えばこの自粛を明るく乗り越える力になるのではないでしょうか。
ここまで読んで自分には関係がないと考えている方、特に男性。
それは大間違いです。
この世に生を受けた男性はいつか必ずニューハーフヘルスを訪れる事になります。
唯一の例外は、不幸にもその機会の前に寿命を迎えた方です。
周りにニューハーフヘルスの利用者なんていないぞ、という貴方。
残念ながら貴方は騙されています。
もしかしたら貴方のご友人達は貴方の事を嘲笑っているのかもしれませんね。
話を戻します。
香さんは口数の少ない女性でした。
通常の風俗であれば無愛想と断ずる方もおられるかと思います。
しかしニューハーフヘルスの場合よく観察する必要があります。
女の子が声にコンプレックスを持っている場合があるのです。
勿論、単純にそういう性格の女性という事も考えられます。
香さんは前者だったようです。
声をあまり発しない代わりにとびきりの笑顔を私に向けてくれました。
可愛かった。
香さんはやはりシャワールームでは股間を隠しておりました。
私の期待は否が応でも高まっていきました。
ルンルンでシャワーを終えた私はプレイルームの扉を開けました。
なんとそこには落武者の霊がいたのです!
私は恐怖で気絶してしまいました。
私は香さんの柔らかい太腿の上で目を覚ましました。
事情を察している様子の彼女は、優しく微笑みながら私の髪を撫でてくれました。
ちょうど私の首筋に彼女のアレが当たっています。
私はアレの温もりに安心し、再び眠りにつきました。
以上が私の体験した全てになります。
あの時の恐怖は今でもありありと思い出されます。
本当に怖かった、でも……。
あのような恐怖の後でも私は半年間、ニューハーフヘルスに通いました。
自粛が明ければきっとまた、あの場所に足が向かう事でしょう。
本当に怖いのは人間の欲望、なのかもしれません。
呪を賜りし私小説 @tori-makefumi
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