6便目 日々のヒビ

確かに『交代』って、そう書いてあったんだ。


あれから自分の変化について

ずっと考えていた。


私が感じた『交代』とは

決して『後退』ではなく

『抗体』に近い『交替』。


体の変化もあるが

心の変化も相応にある。

出入するドアをロックして

地下へ下ろした時に気付いたんだ。


確実に、でもゆっくりと

母になろうとしている。


事実私は私が気付かないうちに

『私』になっていた。


あのころの『僕』はもういない。


言の葉に書かれた文字たちは

ただの象形の羅列だとは思わない。


けれどそれが意味を持っていると

するなら


教えてよ。


『誰』なの?

言の葉を送るあなたを

今、私が必要としてるの?


天井スレスレに拡がる言の葉たちは

ただただ、サラサラと音を重ね

部屋の水分量を奪っていくのだった。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る