5便目 頑固な眼光
キッチンに散らばるピグリップを
片付けている時だった。
『あの人』からの言の葉が
舞い降りてきた。
『もうそろそろ、交代だよ』
『この人』、僕のことを知っている。
僕は『その人』を知らないで生きているのに。
不公平な立ち位置にイチイチ苛立ちを
感じるのは負に満ち満ちているからなのかな。
ピグリップを踏んづけた時と
似た感覚だ。
母は私の事をたまに『頑固』だと言う。
私が片付けられない性格なのを
知ってのことだけど、
『部屋が散らかってると心も散らかるんだからね』
昔から言われ続けてきた言葉だけど
私は変えない。
床に散らばったそれらのように。
頑固なのかもしれない。
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