第19話 エピローグ

母親の呼ぶ声が聞こえた。「コーヒー入れたから降りてきなさい。」


生徒手帳に書いたような夢を叶えることは出来なかった。高校時代の私に、50才を前にした今の私はどう映るだろうか。私は夢を諦めて社会人となってからの人生を少しの間振り返った。

そして手帳にペンを走らせた。


「高校の時の俺へ。バンドで夢を叶えることは出来なかったけど、十分にカッコよくて幸せな人生を送れているよ。」


生徒手帳を引き出しに戻す時、引き出しの底に敷くように大きめの封筒があることに気付いた。封筒の中にはあの時の譜面があった。


この譜面を音に変えた時、私はどんな思いに浸るのだろう。もう一度あの頃のような情熱を思い出すだろうか。


母親の呼ぶ声が聞こえた。私は譜面を手にし、階段を降りた。



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生徒手帳 @Mirai_no_yume

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