第17話 高校生活の終わり

大学進学に向け、みんなが追い込みをかけている高校3年の12月。Revolutionのメンバーは2回目の単独ライブに向けてバンド練習に集中していた。クリスマスに市民会館の中ホールでライブをする。チケットのデザインを考え、印刷会社にタツヤと自転車の二人乗りで出向く。ホールレンタルの交渉ももちろん自分達でやる。学生服を着た情熱の塊に大人達も真摯に対応してくれた。


クリスマスの定番曲をアレンジし、オリジナルの歌詞を付けた。

その頃は、もうライブが盛り上ることに全く不安はなかった。初めてライブをやった同じ会場で2回目の単独ライブ。1回目と違うのは絶対の自信。演奏技術、人気。

将来プロになるから当然のこと。いや、ここまで自信ができたから東京に行ってプロを目指す意思が固まったのかもしれない。周りもそんな雰囲気だった。「あいつらは必ずプロになる。」


予定していたチケットは完売し、2度目の単独ライブは大成功に終わった。


クリスマス単独ライブの後、3月にスタジオSの主催するライブが市民会館大ホールで行われた。これが高校生活最後のライブとなった。その頃は各バンドの個性もハッキリし、ファンのカラーもバンドによって違っていた。それぞれのバンドの情熱は、それに触れた高校生達の青春の1ページに鮮やかな色を添えた。


音楽への情熱と切ない恋に駆け抜けた高校生活がもうすぐ終わる。

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