第14話 進路

17才の夏。高校3年生。みんなまだ卒業間近を実感できない中、学校や家庭では進路の話が出てくる。大学?全く考えられない。バンドでプロを目指す。しかし東京への拘りはなかった。地方を拠点に活動し、東京に活動の幅を広げる。そんなストーリーも有りだと思っていた。当然、バンド内でも今後どうするかを話し合う。その中でヒロは絶対に東京だった。私が行かなくても東京に行くと言った。彼のプロへ挑戦する気持ち、俺はこれでやっていくんだという覚悟は私以上だったのかもしれない。


東京でレストランに就職し、バンドでプロを目指したいと両親に言った。一般的な親なら、なにバカなことを言ってるんだと一蹴したかもしれない。それは私の親も同じ。「就職してバンドでプロは目指せない。仕事はそんな甘いものではない。」父と結婚前、東京で美容師をしていた母が言った。しかし、ここからが少し違う。東京でプロを目指すならどこでもいいから学校に行きなさい。と言ってくれたのだ。音楽にプラスになる学校。バンドにプラスになる学校。そう考えて渋谷にある音響の専門学校へ行くことを決めた。

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