第10話 真田美咲

真田美咲は芸能界を目指していた。彼女の母親にそういう世界への憧れがあったらしい。彼女はRevolutionをバックにスタジオに入るようになる。


プリンセスプリンセスは当時女性グループで圧倒的な人気だった。そのコピーバンドで彼女が歌う。私は憧れの彼女と狭いスタジオで一緒にいられることが嬉しくて夢心地だった。


この頃Revolutionsは変化の時期を迎える。私はタツヤとのツインギターに息苦しさを感じていた。同じリフを二人で弾くことに違和感を感じていた。狭いスタジオでエレキギター2人は騒音に思えた。

プリンセスプリンセスのコピーバンドの時、私はこのバンドではタツヤにベースを弾くことを提案した。それはバンドのその後の形態に繋がっていく。



高校2年も終わり間近の3月。17才。スタジオS主催のライブが催された。真田美咲が歌うプリプリのコピーバンド。その後に続くタツヤがベースとなった新生Revolution。ショウは友人が結成したバンドDestiny のベースとして収まった。


ライブ当日。

真田美咲の緊張はバックのこちらまで伝わってきた。その中で彼女は準備した3曲を歌いきった。誰もノラない客席を前にパフォーマンスする彼女の姿は立派だった。

彼女が歌うバンドでの演奏の間、私は音楽にノル気持ちを抑えた。いやノッていたが体が動くのを抑えた。それは初めてのステージでリハから飛ばし、本番でエネルギー切れになった経験からだ。Revolutionで気持ちと体を爆発させる。


お客さんにノッてもらうためには、まずは自分がノラなければならない。この場所が最高に楽しいと感じ、解放されて照れもなく目一杯カッコつける。ステージとはそんな場所だ。

Revolutionのステージが始まるとお客さんは総立ちになった。

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