第6話 BOOWY

ハードロックにハマる中、学校ではある日本のバンド名を耳にすることが多くなった。後に物凄いスピードで日本の音楽シーンに多大な影響を与え、次の世代にも影響を与え続ける伝説のロックバンド。BOOWYだ。


その音源はすぐに私にも回ってきた。ダビングされたテープをカセットデッキに差し込む。幻想的なインスト。そして何かが始まる前の緊張感。遠くで鳴ってるようなギターのカッティング。

GIGS。そのライブアルバムは衝撃だった。日本にこんな音楽があったのか。ギターを前面に出した楽曲。しかし明らかにハードロックとは異なる音楽。実はその時衝撃を受けたのはギターと楽曲だけではない。ボーカルの声だ。


このカセットから流れる音楽はどんな人が演奏しているのか、このライブのステージではどんなパフォーマンスが繰り広げられているのか。LAメタルのイメージはまるで当てはまらない。知りたい。

楽曲を聴いて、どんな人が演奏しているのかどうしても見たくなる衝動。


そのバンドメンバーの写真は全く想像と違った。いや、うまく想像できてなかった。見たことのない世界観。〝カッコいい!〟

今まであまり意識したことがなかった。スタローンの演じるランボー、シュワルツェネッガーのコマンドー、もっと子供の頃はジャッキーチェン。タフで強い男にばかり憧れた。

カッコいいとはこういうこと。初めて意識して鏡を見る。BOOWYとの出会いはその音楽だけでなく、新しい価値観との出会いだった。


それまでハードロックのリフやソロを練習していた私は、その手癖や音の好みを残しながら、布袋の独特のカッティングとフレーズを練習するようになった。

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