第3話 私

3兄弟の末っ子に生まれ、母は教育ママ。中学1年までは日曜でも午前中は遊びに出ることを許してもらえず、友達が遊びの誘いに来ても断っていた。

それも中学2年の頃からは、あまり勉強のことでうるさく言わなくなった。上2人の教育で、もうそんな気力が無くなってたのか、諦めたのか。


私はいたって普通の男の子だった。家族の愛に恵まれ、悪いことに興味を持ったり親や先生に反抗心を持つことも無かった。近所の幼なじみは地元で有名な不良少年のように言われていたが、昔から彼を知る私にはそんな風に見えなかった。世間でいう不良少年とは実はそんなものなのかも知れない。


中学3年の時、その彼と些細なことで放課後に派手な喧嘩をした。教室の窓ガラスは割れ、お互い血だらけ。先生にはすぐにばれて私は病院で右腕を数針縫った後、母親のパート先に先生に連れて行かれた。パート先の玄関で私を待っていた母の姿を今でもはっきりと覚えている。


そういう出来事はあったが、それ以外は普通の中学生。勉強ができるということもなく、何も考えずに日々を過ごしていた。将来の夢もなく、大人になってどんな仕事をしたいのかも〝?〟だった。

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