第2話 プロローグ
6年間の海外勤務を終えて帰国した私に、両親は実家で帰国祝いのようなことをしてくれた。海外赴任中もたまに帰国していたが、実家に帰るのは久しぶりだった。
家族との食事を終えた私は懐かしくなり、高校時代に使っていた2階の部屋に行った。そこは今は父親の部屋になっているが、高校時代に使っていた机はあれから30年経った今もそのままの場所に置かれていた。
引き出しを開けてみると、生徒手帳があった。表紙には長髪の外国人がギターを弾く雑誌の切り抜きが挟んであった。紙がセピア色に変わった手帳は随分と軽く感じられた。
手帳には落書きのようなものや、その当時思ったことが自由に書かれてあった。そして最後の方のページに高校卒業の時に書いた未来の私宛のメモがあった。あまりにも純粋なそのメモは、まるで最近の出来事のように少年の時の記憶を思い出させた。
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