第4話
「ほほう。よくぞこのオレの嘘を見抜いたな。褒めてやろう」
「あたしもおっぱいには一家言あるからね♪」
「いやいやねえだろ」
「にゃはははは♪」
「まあ老化防止とか染みシワ肌荒れに効能があるのはマジだけどな」
「そうやってほんとのことに嘘を混ぜてくる♪このスケベっ♪」
「くっくっくっ、褒めろたたえろオレ様をっ」
「うそクンえらい♪うそクンすごい♪うそクンぜつりん♪」
「いいぞいいぞ苦しゅうないぞ」
「うそクンの嘘と言えばウマックの話は上手かったねえ♪」
「え、っと。なんだっけ」
日常的に嘘を吐き過ぎて本人が忘れている有様だった。
「えっとね♪“ウマクナルドは東ではウマックって略すけど西じゃウマドって略すんだぜ、だからあっちじゃメニューの名前もウマドシェイクとかビッグウマドっていうんだぞ”って♪」
存外よく似た口真似をする朔良の言葉を聞いて左右輔は暫し首を傾げたままだったが、なんとか思い出したらしくぽんとひとつ手を打つ。
「あー、そんなこと言ったなあそういや」
「あ♪れ♪は♪信じたねけっこうマジで♪♪♪♪♪」
「そうだろうとも、このオレ様のキレっキレの嘘に酔いしれなっ」
まあ、あの話はお前しか信じなかったけどな。と、喉元まで出かかった言葉はそっと飲み込んでおく。
なにがそんなに面白いのかケタケタ笑う朔良の横顔を見つめる左右輔の表情は、何故か別人のように穏やかだ。
「ところでー♪」
「うおお!?どしたよ」
朔良は我に返って慌てる左右輔の顔を、ふっと声のトーンを落として覗き込んだ。
「明日はあ、エイプリルフールだねえ♪」
左右輔の表情に僅かな緊張が浮かんで、そしてすぐに消えた。
そう、今日は三月三十一日。明日は四月一日、世に言うエイプリルフールだ。
「そうだなエイプリルフールだな。まあ、オレにとっちゃ毎日がエイプリルフールみたいなもんだけどな!」
「さっすがうそクン♪そこにシビレる憧れるうっ♪」
「当然だっつーの。はは…は…」
夕焼けに照らされて歯切れ悪く笑う彼を、彼女は横目でにまにまと眺めていた。
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