第17話 人間は無限
無い島の面積は分からない。
大きいような小さいような、存在しないから考えない。
グネグネした空間は僕との境界線を曖昧にし、吐き出した空気は気味の悪い色をしていた。
未来からやってきた人のようなモノがぼやいていたことを思い出していた。
どこからどこまでを人間と定義するか難しい時代が来るということだ。
犬は人間を人間として見ない。当然である、人間という概念を知らないし、概念化する能力が無いからだ。
人間が10人いたら、犬からすれば全て違う生き物であり、何をするか分からない危険な存在として認識する。
僕たちは人間の集団を見ても、人間だから大丈夫と高を括ってはいないだろうか。
21、2世紀、人間と定義された生き物は様々なことをしでかしたそうだ。
人間とは本来こういうもの、こうあるべきものという概念が崩壊した。
賢い人たちが核を作り弱い人達を沢山殺した。
人種差別の構造をつくり上げた。
貧富の差を激しくし貧しい人間を増やした。
人間のゲノム構造をいじくりまわし、超人と呼ばれるものをつくり出した。
人間にAIを搭載させた。
不老不死を実現させた。
宇宙空間にゴミをまき散らした。
月を破壊し、お月見ができなくなった。
ボロかった火星の環境を更に悪化させた。
自然環境を破壊しまくり、地球の寿命を縮めた。
このような行為をするのは人間と定義してよいのだろうか。
これらの行為は個人ではなく集団である。
人間の形をした、悪魔の集団ではないのだろうか。
目の前の連中は人間でいることが難しくなっている。
未来からやってきたという、ちょっと胡散臭い人間のようなモノは、ブツブツ言いながら、グレーの空間に消えていった。
人間には際限がない。
人間は無限なのだ。
法律、規則やルール、倫理や道徳は、人間の好奇心をセーブするもの。
ただし、好奇心が破裂寸前になると、ルールが簡単に変更される。
膨張し続ける人間の好奇心はどこまでいくのだろうか。
そして、人間はいつまで、人間でいられるのだろうか。
無い島にいる僕の身体が半分消えかかっていたことに気が付いた。
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