第13話 世にもいら無い島

無い島で人は、皆、アーティストである。


現実社会の狭間で起きた、未消化な出来事や物事をぼやくことがアートになっていく。


頭や理屈では理解しきれないことなんて、世には腐る程ある。


それらを抽象的な言葉や歌、絵や立体にすることで、曖昧にし先送りにする。


先送りにすることは、人間の発明であるし、癒しや浄化につながる。


アーティストを目指すことは本来おかしな話である。


生きていたら、何かしていたらアート、アーティストが生まれていたが正しい。


アーティストを目指しても、うまくいかない人が多数である理由はそこにある。


未消化な文脈を理解し、先送りにするための表現方法を知らないとできない。


空だか海だか分からないグネグネした空間と、僕の身体の境界線が曖昧になっているだけでは、アートとは言えない。


無い島でぼやく人がいて、初めてアートとなる。


無い島には何も無いが、アートを生み出すぼやきがあった。


今日は、ぼやきとは出会わなかったが、無い島の在り方について考えることができた。


針の穴のような小さな光は、僕の身体を照らしていたが、瞬く間にグネグネした空間に呑まれてしまった。


暗い夜のような時間が訪れ、疲れ切った僕は、倒れるように眠りについた。







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