08. レッスン2「ゲーム音楽」

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「ゲーム音楽はお好きですか?」

「ああ、オレはゲームも、その中で流れる音楽も好きだ」


 今日もギターのレッスンでオレは露樹にしごかれた。

 ムチで軽く100回は打たれたのだった。

 練習を終えて、2人は中庭のベンチで会話中というわけだ。


「すけべなゲームはどんな音楽が流れますの?」

「聴かせてやろう」


 オレは通学カバンから携帯型ゲーム機を取りだし『艶闘カガク』をはじめた。

 オープニングソングがアニメーションと一緒に流れる。


「まあ、勇ましい音楽ですね」

「驚いたか。すけべなゲームでも、これは女忍者同士が熱いバトルをするというアクションなんだよ。それでこんなカッコいい曲が使われているんだ。オレ、これけっこう気にいってんだぜ」

「でもそれ、アニメーションがえっちすぎです」

「まあな。それも気にいってるんだけど、ツユキには刺激が強いか」


 このゲームは、ヒロインたちのスカートがめくれてパンツが見えたりするし、衣装がビリビリに破れて下着姿になるのが売りだ。

 場合によっては「すっぽんぽん姿」が拝める。もちろん大切な部分はシールみたいなのを貼って隠してある。レーティングDの限度ってやつな。


「ツユキもゲームやるのか?」

「ワタシは錬金術のアトリエが好きです」

「どんなやつだ?」

「サマーランドの錬金術士シリーズ『極・ロリーナのアトリエ』とかです」

「それ知ってるぜ。やったこと、ないんだけどなあ」


 錬金術士が主役のゲームもけっこう売れていて、歴史もけっこう長いらしい。

 それはたいていRPGというジャンルに属している。バトルシーンもあるが、コマンド形式といって、アクションとは違い素早いボタン操作が必要なくて、じっくり考えて次の行動を選べるタイプのものだ。そういう点でオレはあまり好きじゃない。

 アクションならテクを駆使してうまく相手を倒せた場合、超スカッとするからな。


「観ますか?」


 そう云って、露樹はカバンの中から、オレと同じだが色違いの携帯型ゲーム機とゲームソフトのパッケージを取りだす。

 せっかくだから観てやろうじゃないか。

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